部品加工業の未来

ミスミ「meviy」から見えてきた、

中小部品加工業の今後、未来について

製造業経営コンサルタントの井上です。

以前、金属加工業の未来について書きました。その時からテクノロジーの進歩がどんどん進み、変化があります。

中小の金属加工業の 今後、未来とは?

今回は、金属加工業よりももう少し広範に影響を与える変化になります。従いまして、今回は部品加工業の未来とさせて頂きました。

その変化は、①デジタル化 に尽きます。

特に顧客の問合せから、積算見積り、図面指示など、ビジネスプロセスが3DCADで大幅に簡素化していきます。
その代表の企業が、プロトラブズ合同会社、株式会社ミスミ、これから展開をしていくキャディ株式会社になります。
各会社によって加工方法等違いはありますが、3DCADデータを入稿すれば即積算して見積りが提示されます。
通常見積り等も早くても2〜3日はかかるケースがほとんどです。
また納期が通常(数量にもよりますが)2〜3週間かかります。

(図1 現状の部品加工のビジネスフロー)

上記が、通常の部品加工のビジネスフローになります。(ちょっと荒いけど。。)
これがプロトラブズ、ミスミ等では、以下の通りになります。

(図2 デジタル化が進んだ部品加工のビジネスフロー)

要は、3DCADのデータで指示を貰えるため、その3DCADデータに基づいて解析して積算をすることで瞬時に見積もりを出せ、人的な作業が限りなくゼロになったというビジネスモデルです。打合せが無くなり、オレンジ色枠のプロセスがシステム化されて自動になっている部分です。(納期は加工の内容に違ってきます。参考までに〜10日としております。加工により3日とかより短い納期の加工品もあります。)

ただしこのビジネスモデルは、プロトラブズのHPを見ていただくとわかりますが、試作品または少ロット品になります。ミスミも同様です。

(図3 部品加工ビジネスモデル比較)

プロトラブズもミスミも、仕組み化できれば付加価値を高くできる「少量多品種(試作)」分野になります。自動車部品などの量産部品は、工場監査があり4M変更時には承認を受けるなど、さまざま条件があり難しい部分があります。

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金属加工業の未来今後

また機械部品などの元々少量または中量の部品は、新しいビジネスモデルの加工業にパイを奪われる可能性は高いです。但し、3DCADデータを提供できるのは、現状では設計開発をしているメーカーのみで、サプライヤー(受託加工業)がこれらプロトラブズやミスミのサービスに完全に移ることはまだ数年はできないはずです。設計データである3DCADデータをメーカーがサプライヤーに提供したとしても、それをこれらのサービスに提供することは難しいと考えます。

これらのサービスは、図3の通り「少量多品種(試作)」を得意としていた中小の部品加工業が最終的に加工していた領域です。それがこれらのシステム化されたプラットフォームの出現で、どんどん仕事を失っていくことになります。

部品加工業_ビジネスプロセス3
(図4 現状のサプライチェーン)
部品加工業_ビジネスプロセス4
(図5 今後のサプライチェーン)

最後に、部品加工業として、小回り対応など抽象的な強みだけでは中小部品加工業は生き残りが厳しいと言えます。より自動化すべき工程はハード的に自動化し、ソフト的な自動化はシステムを進めて中で、デジタル化をより推進していかないと時代に流れに取り残されます。まずは仕事を増やす過程で良い顧客と繋がりつつ、良い顧客の要望に答えられるだけの規模も今後は必要になると考えます。

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