受託製造業の管理者として求められること

(管理職の仕事・役割)

最近はヒノキの花粉とやや喘息ぎみ(見た目より体弱い?)で参っている、製造業経営コンサルタントの井上です。

先日、受託製造業(社員60名程度)の会社のコンサルティングの中で、「管理職 勉強会」を1〜2時間で実施しました。

当たり前のことではありますが、「管理職とは」また「管理職の仕事」として学ぶ機会が少ない現実があるので、実施しました。概略は以下のとおりです。

(作成:筆者)

今回は赤い文字の部分を簡単にお伝えしていきます。

井上は最近、管理者が「監督者」としての仕事が割合が多すぎると思っています。なぜかと言うと、

管理する必要がある = 仕事のやり方が不完全、人に依存しすぎ

と思っているからです。

「管理」の意味合いもありますが、通常は仕事がしっかりできているか「監督」業務に重きが置かれている場合が多いのではないでしょか。やや極端に言えば、人は怠けるものだから見張らないといけないという旧態依然の考えでいる会社がまだ多いのではと感じます。

これからは「管理(マネジメント)」を「監督」から「判断業務」をメインにした会社に、アップデートしたいと考えてます。

この辺りは管理者教育だけではなんともできないので、経営のあり方を見直さないといけないのでまた後日後述したいと思います。「モジュール型経営」を少し考えてます。

(前提条件)組織とは

話を戻しますが、まずは前提条件としての組織とはなにか、また会社の仕組みとは何かしっかり認識してもらい必要があります。

(作成:筆者)

受託製造業の管理の大切さ

なぜ「受託製造業」で「管理」が重要なのかというと、「受託製造業」はものづくりではありますが、材料支給の場合は「賃加工」になります。簡単にいうと「サービス業」になります。

管理職としての仕事10
(作成:筆者)

だた物理的な「もの」も扱う「サービス業」であり、更に、多品種小量生産が多いので先程申し上げた「管理」が大変になります。

管理職としての仕事9
(作成:筆者)

したがって、受託製造業の「商品」は日々の「生産活動」となります。(ブログを見ていただいている方は、何度も言っているないようですね。)

更に、仕事には「日常業務」と「マネジメント等」の仕事があります。階層別にその割合は変わりますが、一般の社員も含め2つの「仕事」は必ずあります。

(作成:筆者)

「マネジメント等」の仕事には、管理的なこともありますが、新しい事へのチャレンジも含まれます。製造部門では「改善活動」であり、営業部門では「新規顧客開拓」などを指します。

管理職としての仕事(役割)

本題の「管理職としての仕事(役割)」としては、下記の

(作成:筆者)

1.業務の熟知(プロ機能)

「業務の熟知(プロ機能)」は当たり前ですね。現場のプロとして、担当業務は熟知していないと改善などの指示も出せません。

2.会社の方針を理解する

次に、会社の方針を理解することです。当たり前ですが、理解していないというか、会社に明確な方針がないケースが多々あります。

 わかっているでしょ?

と思っている経営者は間違いです。その様な会社で成長している会社は皆無でしょう。特に20〜30名以上の会社では。業種によっては20〜30名程度であれば、能力の高い経営者ではなんとかコントロールできると思います。ただ、相当優秀な社員がいない場合は、社長がいないと何もできないという状況に陥いりいずれ成長がとまります。更に組織が淀み活力が失われていくしょう。

3.現状認識と課題の設定

4.問題解決

現状認識から課題設定、そしてその課題を解決していくことが管理者として重要な仕事になります。

特に現状認識が重要になります。

これは経営者として把握している事と管理者が把握している事、すなわち、世の中のこと(マクロ・ミクロ経済)、業界について、自社のについてなど、経営していく上で、会社と関わりのある基本的な「こと」について、それぞれの認識が揃っていること。

同じ内容を話していても、知らないことがあれば判断できない管理者がいる可能性が高いのです。

どんなに社長の思いを伝えても、なぜ社長はそのようなことを言うのか、バックグラウンド(背景)がわからないのに、”わかりました”という”なんちゃって管理者”は多いと思います。

この様なことができるだけないように、私はコンサルティング先では、わかり易く各種の経済指標をグラフにして、継続的に伝えています。少しでも興味を持って、勉強して貰えるように祈りつつ。。。

(作成:筆者)

で、まずは世の中(マクロ・ミクロ経済)、自社、競合、顧客という辺りあえの視点を意識して、日頃、生活することをおすすめします。

意識しないと、何事も始まりません。

その上で、世の中(マクロ・ミクロ経済)って、もう少し具体的にいったらなんだろう?という疑問がでてきたら、Google先生に聞いてみること。この行動が重要。管理者は特に、”なぜ”が重要です。

いずれにしてもまず初めに経営者は、管理者の「現状認識のレベル」をしっかり確認して、「現状認識のレベル」を上げる努力も必要なります。

5.付加価値創造(新しい活動)

(作成:筆者)

管理者は管理をするだけの人ではなく、会社に新しいことを進んで行う役割があります。業務に熟知し、立場的に権限もあり、全体を見ることができる立場。社長が何かを作り出してくれると思っている管理者・幹部が多すぎです。

しかしよく聞こえてくる声としては、「社長に言っても、すぐに却下されてしまう。」というもの。これは先程の「現状認識のレベル」が、至っていないのか、ピントがずれているのかのどちらかであることが多いです。

管理者が、勉強を継続して「視座」を高く持ち、ピントをズレないように「多面的」なものの味方の訓練を日々行うように心がけて下さい。

6.やるべき事を計画する

次に、「やるべき事を計画する」これも重要。下記のスライドにあるように「課題」を正確に把握して、会社の方針に則りながら、具体的な「計画」に落としていきます。

(作成:筆者)

その時に見られるよくある現象としては、やるべきことが見えているが面倒くさくて明確にしたいということです。

「明確にする」とは、具体的に文章として記録し、要は「ToDo」リストとして経営者にも部下にもやることを宣言して、日々、確認しながら仕事を進めていくことです。

自分自身だけがわかっているという状態では、全然ダメです。

「何を」「どのように」「いつまでに」「誰が」を明確にするのです。

今ではクラウドを使えば、メンバーとの情報の共有も容易にできます。手法はどれでもいいので、明確にして、共有すること。これは管理者としての仕事になります。

「決めて」「チェック」すること。これがまずは第一歩になります。

7.方針・計画を率先垂範し、わかり易く伝える

ここでのポイントは、「わかり易く伝える」ことです。

管理者と部下の間にも、「認識」の違いが存在します。その「違い」を認識しつつ、常に「意識」できるように日常で工夫をして下さい。

もう少し具体的には、継ぎの8に記載します。

8.方針・計画の進捗を管理する

「方針・計画の進捗を管理する」ですが、特別なことはしなくて良いのです。現状の会社の仕組み、朝礼や部門ミーティングなど、打ち合わせする「場」がいくつかあると思います。その「場」ごとに、「確認」することと「検討」することを具体的に決めてしまえばよいのです。

9.業務を遂行する為に部下育成を行う

会社が成長していくと、どんどん業務が増えていきます。より高度な業務や新しい仕事を社歴の長いメンバーが実施していくケースが多いと思います。それが管理者に当たる場合も多いと思います。

その時起こることが、今の業務を他のメンバーに移したいが、直に移管できない問題です。

色々なアンケートでも自社の課題として「人材育成」であると上げる会社の割合がかなり多いと思います。しかし、ISOを取得していても、なんちゃって教育計画が横行してます。

コンサルティング現場では、よく見る光景ですが、社員の本気度が低すぎてがっかりすることが多いです。また意識は高いが、具体性にかける会社もあります。

計画を立て、課題をクリアしていくことが仕事ですが、この仕事は「楽しく」やっても良いのです。ゲームみたいに。

「仕事」=いやいややる事、辛いこと

という意識はそろそろなくして行きたいものです。(やや脱線しました。)

これからは仕事が、システムやロボットに置き換わっていきます。人間の演るべき仕事は、単純労働ではなくなります。この様な世界は、そんな遠い未来ではないのです。会社として、今後、人間の社員に対してやってもらうべき「仕事」の”一人前”を明確にして、どんどん課題をクリアして、楽しくレベルアップできる会社にしていくことが求められます。

最後に、ルーチンとしての仕事と会社をより良くしていくための「新たな活動」を管理者が企画し、自ら率先垂範しつつ部下に対して