デジタル化時代の中小製造業の

人材育成・教育シリーズ

第5回目 人材育成ではコンテンツ作成が重要!

製造業経営コンサルタントの井上です。

今回から「デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ」として、現状、OJTという名の何もしない人材育成・教育について提言を込めて、実際に成長している100名以下のものづくり企業で実施している人材育成・教育について述べていきます。

そのスケジュールとしては以下の通りです。

(シリーズのスケジュール)


         < 目 次 >

      第1回目:デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは?
      第2回目:今後の中小製造業の仕事は誰がやるのか?
       ◆「機械・ロボット」にさせる仕事
       ◆「システム・AI」にさせる仕事
       ◆「人間」がするべき仕事 
                 ・誰でも出来る化
                 ・高度な専門職(職人)
                 ・管理職
      第3回目:中小製造業の人材育成・教育の実態
       ◆大手に比べて人材の質も比較すると低く、教育の仕組み化も弱くのに教育していない現実
       ◆OJTという名の丸投げ無責任体質で「教育品質」のバラツキが大きい
       ◆ISOでの形だけの教育計画
      第4回目:「御社の社員の一人前基準・目安」は何ですか?
       ◆何が求められるスキルなのかを明確にする➜目次化
       ◆職種別の一人前基準を明確にする
       ◆「一人前基準」は自発的に伸びる社員の道標になる
       ◆部品加工業におけるスキルマップの事例
      第5回目:人材育成・教育は、コンテンツ化が重要コンテンツ化して「資産化」しろ!
       ◆「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ
       ◆デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」
       ◆「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用
       ◆「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する
       ◆コンテンツのアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要
   第6回目:難易度の高い業務ほどOJTという名の人任せでなく教育方法を「研究」する
       ◆教育する事が良い事であると勘違いしている
       ◆難易度が低い業務ほどマニュアル化(明確化)されているが、なぜか難しい業務ほど人任せの現実
       ◆習得に時間がかかる(難易度の高い)業務ほど、ノウハウの現場の職人依存の現状
   第7回目:教育することも工数がかかる。教育工数を削減も
       ◆「コンテンツ化」すれば、教育する工数を減らせる(人が教えなくて良い状態」を作る)
             ◆教育の「コンテンツ化」=「教育する工数削減」=「技術伝承がしやすい環境」
      第8回目:製造業の評価制度はスキルが明確でなくければ上辺だけに評価制度になる。(人材育成と評価制度の関連性)

「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ

前回は、社員の「一人前基準」を作ることをお伝えしています。

その「一人前基準」が出来たら、「一人前基準」を要素分解します。製造業の切削加工業であれば、図面が読めるや材料に関する知識、リピート加工の流し、初品では工程設計、プログラミング、治具設計、段取り、機械操作、工程内検査など、項目を分け更に細分化していきます。

この「一人前基準」を要素分解したものを、スキルの「目次」とします。「目次」があれば、意欲の高い社員は勝手に学習を始める人も出るはずです。
スキルの「目次」に沿って、項目ごと何かしらの「コンテンツ化」して欲しい。これはマニュアルでも良いです。また勉強会を開催しているところの動画をとってもいいと思います。要は、後で見直すことができ、繰り返し”人間”が教える必要のない「コンテンツ」にしていくことが、デジタル化時代においては、人財育成を効果的・効率的に進めていく上で重要になります。

デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」

今後の企業内で機械化が進み、システム化が進む上で、急速なスピードで人間がやる仕事が減っていくことは間違いないです。その最後に残る人間の仕事を「誰でも出来る化」と「高度の専門職(難しい仕事)」に分けます。そして、「誰でも出来る化」を進める為に、手順書やマニュアルを作成して、多能工を進めていきます。

残る人間が行う業務の「高度の専門職(難しい仕事)」に関しては、マニュアル等があっても手順が難しい、判断業務が入り習得するのに、1〜2年以上掛かるなど、現場でのOJTをベースに進められて来た。当然、現場でのOJTを行う必要があるが、教育に関しては「事前に修得できること」と「経験しながら習得すること」に分けることが必要です。「経験しながら習得すること」に現場で行われることが多く、人間に依存します。要は、教える人に”品質にバラツキにが生じる”ということです。製品の品質には厳しいが、教育に関わる”教える品質”に鈍感な中小製造業は多すぎです。だから出来る人に集中して、出来る人が他の重要な事に手につかず、会社を変革・進化させることができてない現実があります。

この”教える品質”を品質改善としては、「教育コンテンツ」をデジタルデータにすることを意識して欲しい。デジタルデータになれば、誰でもある意味どこでも見ることは可能です。更にデジタルデータの特徴の編集が簡単にできます。この編集ができるというころがミソで、言葉を変えるとアップデートが一生できるということです。内容がより良くなり、最高の状態をいつも保つこともでき、更にアップデートできます。教育、人財育成のツールとしての「資産」になりうるのです。

優秀な人が辞めてしまったら、人材教育をする人がいなくなり”教える品質”が低下して、直ぐには取り戻すことが出来ません。取り戻せないかもしれません。

今からでも遅くないので、「教育コンテンツのデジタル化」を進めて下さい。自社に重要な「資産」です。

「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用

「教育コンテンツ」のデジタル化はドキュメントはもちろん「動画」にすることを意識してください。

理由は、さきほど言いましたがデジタル化できるとアップデートできる「資産」になります。更に重要なのは、ドキュメンは知識や手順などを教えるツールにはなりますが、「教え方」までは残すことが出来ません。ドキュメンを使用した勉強会などの風景を動画に納めておくと、「教え方」が上手い人の「教え方」を残すことが可能になります。

今は、スマホでもPCでも動画を残すことが容易になってきたので、ぜひ億劫がらずにチャレンジして下さい。

「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する

先程、デジタル化することによって「教育コンテンツ」+「教え方」も残すことができると申しました。

最近では、リモート会議ツールの「Zoom」がかなり浸透しました。この「Zoom」のレコーディング機能を使うことによって、デジタル化した「教育コンテンツ」を使いより簡単に「教え方」をデジタルに残すことが可能になります。

「Zoom」以外でもリモート会議ツールで同様にレコーディングはできます。

実際には、社内で勉強会をする時にテキストをプロジェクターに映して行うと思います。この時にパソコンでZoomに入り、Zoomで一人だけでミーティングを行います。(他にパソコンをもっているメンバーがいる場合は、同時にZoomに参加してもらっても良いと思います。)Zoomでミーティングを行っている状態で、画面共有をした状態でレコーディングを行えば、音声も録音されますし説明している画面がプロジェクターにも写っていますが、話している画面も録画されます。

このようなZoomの使い方は推奨されているものでははいですが、リモート会議以外の使い方としてかなり有効です。

定期的に特定テーマの勉強会を行う場合、このZoomのレコーディング機能を使って録画して、よりわかりやすい人の動画を残していけば、仮に人の入れ替わりが合ったとしても「教え方」を残すことが可能になります。

「教育コンテンツ」のアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要

「教育コンテンツ」は作るだけでは活用されず宝の持ち腐れになってしまうことが往々にしてあります。「教育コンテンツ」がアップデータできるように「運用」を考える、設計することが必要になります。

その「運用」方法は、特別なことは特にせず「教育体系」「教育計画」と「評価制度」に組み込むことです。

今ある当たり前の制度・仕組みをまず考えましょう。

例えば、○年目には、あるテーマについて社内勉強会を昇給・昇格の条件にして、必ず社内勉強会を行うようにします。そのテキストは過去先輩が作ってきたテキストをアップデートさせて、勉強会を先程のZoomにてレコーディングしていきます。その中でよりわかりやすい人のものを残していきます。採用されたメンバーは賞与に反映させるなど、工夫します。

勉強会の様子(「教え方」含む)をZoomのレコーディング機能を活用することで容易にデジタル化が可能になったので、ぜひ、人財育成や事業継承が重要であれば”具体的な行動”に移して下さい。

まとめ

第5回目の「人材育成・教育は、コンテンツ化が重要。コンテンツ化して「資産化」しろ!」では、
   ◆「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ
   ◆デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」
   ◆「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用
   ◆「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する
   ◆コンテンツのアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要

として「教育コンテンツ」をデジタル化することが第一に重要で、その応用として「教え方」のデジタル化をすべくリモート会議ツールの機能を使用して、より簡単に「教え方」を残すことをお伝えしました。そして最も重要なこととして、デジタル化した「教育コンテンツ」をアップデートする為に「教育計画」や「評価制度」に組み込むことが重要であることをお伝えしました。

実際に私のクライアントでは既に実施しており、その成果も多く出て来ています。ぜひ、御社にも取り入れて、強い会社を作るように頑張ってみて下さい。


デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ|第1回目 デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは?
デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ|第2回目 今後の中小製造業の仕事は誰がやるのか?
デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ|第3回目 中小製造業の人材育成・教育の実態
デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ|第4回目 「御社の社員の一人前基準・目安」は何ですか?
デジタル化時代の中小製造業の 人材育成・教育シリーズ 第5回目 「人材育成・教育は、コンテンツ化が重要。コンテンツ化して「資産化」しろ!」
デジタル化時代の中小製造業の 人材育成・教育シリーズ 第6回目 「難易度の高い業務ほど OJTという名の人任せでなくポイントや教育方法を研究すべき」