ものづくり企業の経営コンサルタントの井上です。
「事業」と「経営」とはどう違うのか?また経営者の仕事としてどちらが重要なことなのか、と考えることがありました。これは置かれた環境によっても違いますが、創業者は基本的にはじめは「事業」も「経営」の同時に行っていて、企業規模がある程度大きくなってから右腕の幹部と二人三脚で「事業」と「経営」を行っていたと考えます。
最近のベンチャー企業は上記の創業者と多くは同じだと思います。2代目、3代目の経営者はやや偏っていると最近感じているので、この辺を後ほど書いていきます。
「事業」とは?
「事業」とは、
1.仕事。特に、社会的意義のある大きな仕事
2.営利を目的として営む経済活動
といった複数のいいを持ちますが、「経営」と対比して考えていく上では、2.の「営利を目的として営む経済活動」と捉えます。言い換えれば、
「ビジネスモデル」とも言えます。
利益を生み出す製品やサービスに関する経済活動ですね。会社の目的である利益を生み出す為に、商品やサービスを提供して経済活動です。
「経営」とは?
「経営」とは、
事業を営むこと。また、その運営のための仕組み。
だそうです。なるほど、なるほどと改めて考えてみるとわかりやすいですね。
「事業」と「経営」どちらが大事か?
「事業」と「経営」がどちらが大事かという点ですが、そもそも意味合いが違います。
ただ混同している場合とそもそも考えたことがない人もいると思います。当然、その時々の時代背景により、重要性は変わってきます。
よく考えてみると「事業」と「経営」は実際実行するとなると相当性格の異なる仕事です。両方とも大事といいましたが、「事業」が攻めで「経営」が守り的な要素があり、経営でも得意不得意があります。
歴史的に見ても、ホンダなど経営者が役割分担して経営、事業を行って成功した企業がおおくあります。
中小の受託製造業(下請け型)で考察
製造業で考えてみた場合、メーカーと受託製造業(下請け型)と分類されます。
メーカーのメーカーなので自社の商品があります。
受託製造業の場合は、大手などのメーカーからの下請け仕事なので、メーカーみたいな商品は有りましません。このブログでもよく言ってますが、受託製造業の場合は自社の商品は「マネジメント」であると。詳しくは、下記のを御覧ください。
要は、受託製造業の場合は「事業」と「経営」がかなり密接になります。簡単に言うと「マネジメント」=「商品」、顧客から要求仕様(QCD)に対して、その通りに加工や組立て納品します。(QCD)をコントロールするのが、マネジメント(生産管理等)になります。
この発想がない場合、営業畑の社長が「経営」(マネジメント)が苦手で、現場が強くないケースをよく見ます。この記事を書いていて、色々思い出しました。当然、現場に優れた工場長がいれば問題はないです。
逆に現場出身の社長がものづくりにこだわり過ぎて、営業が弱いことやピントがずれた事業展開をするケースもあります。
多くの受託製造業は、中小企業が多く「事業」と「経営」を分離するだけの規模に至っておらず、経営者がすべて考えていくことが多い。その状態の中で、「事業(攻め)」と「経営(守り)」と単純に分けられればよいのですが、受託製造業は「事業」と「経営≒マネジメント(商品)」となるので、単純に分離して考えることが難しい業態です。
改めて受託製造業の商品とは何かを確認して頂きて、自社の強い部分を認識しつつ、弱い部分もどうカバーするか考えていただきたい。その為の視点として「経営力32の視点」も合わせて御覧ください。