
製造業経営コンサルタントの井上です。
私のクライアントは中小中堅の受託製造・加工業が多く、主の大手メーカーの下請の企業が多くを占めています。中小中継の製造業のコンサルティングにおいて、クライアントの顧客の状況やその業界動向や技術動向を知らなくてはいけません。当然ですが、顧客が上場企業なら有価証券報告書に目を通してある程度把握しておく必要があります。
四半期ごとに発表されてますが、事業環境などが更新された都度、変化点や質疑応答に含まれる事業環境や動向、気になる点をまとめていきます。
特に、
- 事業環境及び環境の変化
- 事業戦略の方向性
- 製造拠点の動向(日本での今後の生産をどう考えているのか?)
この3点について見ていきます。
今回は、HOYA㈱のエレクトロニクス分野の半導体のEUV向けのマスクブランクスを中心に2020年度又は2019年度との比較を見てみたいと思います。これは最先端の半導体の生産に関する部品になるので、最先端の半導体の製造が漏れ伝わってくるかもしれません。
製品別売上規模・製品利益率・売上成長率 (2020年度 → 2021年度)

事業環境の変化
HOYA(㈱)の2019年度と2021年度統合報告書での事業環境変化での変化点について見ていきます。
2019年度




半導体のEUV向けマスクブランクスのシェアではHOYA㈱は圧倒的シェアで独占している状況には驚きました。これほどのシェアを持っていると、EUV露光機を介して生産させる半導体の動向はHOYA㈱を見ていればわかってしまうという状況です。
注意事項も書いてあります。「消耗品でない」とあるので、マスクブランクスは作れるので製品ごと作られるので、完全に生産動向と一致しないという点は気をつけたいものです。ロジックCPUは同じ製品でもさまざまな最終製品に入ることも注意ですね。
質疑応答より市場環境・動向と気になる点について
決算報告の後の質疑応答に色々事業環境の変化や事業戦略についてより重要なことがあります。質疑応答の中で重要と思われることをピックアップしました。(自分の覚書として)
シェアが高い分、あまり多くは語ることができないという前提はあると思いますが、特に見るべきポイントはほぼないです。
- LSI については、引き続き EUV も底堅くて、去年に比べまして 30%弱ぐらい伸びております。お客様のデマンドもさらに着実に増えているので、そこについては 2 つあります。
1 つは、しっかりと今の設備の中で製造を良くしていって、スループットを上げていくことに注力していくことと、来年度の中で機械も徐々に増やしていきたいと考えていますので、そのような形でお客様のデマンドにしっかりと応えていきたいと考えています。
研究開発の活動にも変化があれば見ていきたいですが、今回は大きく変化なしということです。
まとめ
※なお、本ブログは、本ブログ作成者が細心の注意を払い判断した出所からの情報に基づき作成されています。ただし、本ブログの記載内容が真実かつ正確であり、重要な事項の記載が欠けていないことを保証するものではありません。
注目企業の事業分析 | ||||||
業界 | 企業名 | 事業内容 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 期末 |
半導体製造装置 | レーザーテック(株) | 半導体マスク欠陥検査装置等製造 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 |
ローツェ(株) | ウエハ搬送システム、FPD製造装置等 | 5月 | 8月 | 11月 | 2月 | |
工作機械・産業用ロボット | ファナック(株) | CNC装置、工作機械、産業用ロボット製造 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 |