製造業経営コンサルタントの井上です。

半導体装置メーカーの熊本にある工場で、大分仕事が薄くなってきたが、株価の見通しがそんなに暗くないということに、ほっとしています。現場の情報も一昔前は最新情報でしたが、現在は様々な情報が手に入るので現場の情報が一番先端ではないと思ってしまう今日この頃。

前置きはこの辺までとして、個人的に気になる動きがありました。

装置・機械メーカーの国内生産または海外生産の動向についてです。

基本的に、装置・機械は量産と行っても、民生品と違い年間数百台レベルです。数千台というレベルも稀にはあります。生産(組立)に人的要素が多いく、特注要素も入りやや難しい組立といえます。

工作機械の標準機レベルはかなり標準化できるので、民生品と同じとは言いませんが、社員でなくても組立が可能なレベルにすることが可能になります。ファナックでは、ロボットで90%程度自動化を可能にしているほどです。

多くの装置・機械は、年間数百台から数十台程度。1台当りの単価は数百万から数億円と幅が広いです。

先程の東芝機械の射出成形機が、「地産地消」で海外生産に生産移行にするニュースは、部品加工業にとっては嫌なニュースになります。

なぜ嫌かと言うと、当たり前ですが、国内で生産されないとなると、部品調達は海外での現地調達になるということです。今の自動車産業と同じで国内の仕事が減るということです。

自動車産業は裾野が広く雇用が生産地に生まれる作業なので、政治的要因も絡んできて現地生産化が求められれます。

今回の東芝機械のニュースは、

東芝機械は米中摩擦に対応し、中国で生産していた米国向け射出成形機はすでに日本とタイに生産移管した。ただ移管に伴うコスト増が18年度業績に響くことなどを勘案し、地産地消の生産体制を推進する。製品や部品の交易は通商問題や為替リスクの影響が大きいと判断

(日刊工業新聞より)

と、「通商問題と為替リスク」の影響をなるべく受けないようにする為の処置です。

現地生産が産業機械でどんどん可能になるということは、国内の人で不足という要因からも、海外生産へ踏み切る装置・機械メーカーも有るはずです。昨年も半導体装置メーカーの購買の方と飲んだ時に、中国での組立を模索していると言っていました。

精度が必要な切削部品を調達する装置・機械メーカーは、サプライヤーが海外にいないので、海外生産は難しいとされてきました。東芝機械のニュースを見ていると、徐々にサアプライヤーが海外でも揃いつつあるのではないかと見ることができます。機械部品の切削加工、製缶・板金加工業は、しっかりと動向を見ていく必要があります。

最後に、装置・機械メーカーが、国内生産で残りやすいのか、又は海外生産に行きやすい(既に海外生産がメイン)のかをマトリクスにまとめました。一つに切り口として参考にして下さい。

部品加工業が押さえておくべき、装置・機械メーカーの地産地消化(海外生産移管)