製造業経営コンサルタントの井上です。
ミスミの進化が加速している。
部品加工のメイビィーなど、新しいサービスが続々でてきている。
その中で、今日は機械設計製作会社の未来をミスミの「inCAD Library」から考察してみたいと思います。
まずはじめに、
inCAD Libraryとは
機械設計に携わる設計者のみなさんに、FA装置の構想設計時に役立つ情報を発信する設計者向けのサービスです。
あらゆる製造業の装置の事例を豊富に取り揃えた事例ライブラリーであり、機械設計業務、特に新規FA装置の構想設計時にご利用いただき、
設計者のみなさんのFA装置設計時間の短縮、技術力の向上を目指すことをコンセプトとしています。
(参照元:ミスミHPより)
inCAD Libraryの特長
1. 豊富な事例の中から設計の工夫やアイデアがすぐに手に入る設計者のあらゆる課題に応えられるよう様々な切り口でユニット事例を集めていきます。
2. 機能、ワーク形状など、様々な切り口で瞬時に見たい事例が見つかる多くのお客様の声を集め、最も必要とされる検索の切り口で探せるよう設計しました。お時間がなく、すぐに求めているユニット事例を見つけられるよう最善を尽くしております。
3. 今や設計に欠かすことのできないCADデータが事例単位で丸ごとダウンロードできる普段からご利用いただいておりますミスミのeカタログでも絶大な支持を得ているCADデータの提供。inCAD Libraryでは、しかもユニット単位でまるごどダウンロード可能となっております。
(参照元:ミスミHPより)
要するに、基本機構のCADデータを用意するので、そこで使用する機器はミスミから買ってくださいというサービスです。
荒手(?)のFreeのビジネスを組み合わせたサービスですね。
それから機械設計製作会社とは、説明して行きましょう。
様々な製品を作る為の生産設備を作る会社になります。工作機械も半導体製造装置も機械(装置)なので、これらを設計して製作する会社も当てはまります。ただこの場合は、機械設計製作業というより、一般的には、装置メーカーということが通常です。
いわゆる機械設計製作会社は、装置メーカーの下請けとして受託製造業として請け負うことや、装置メーカーみたいな専用機で量産機でない場合は、一品一様の機械を作る必要があります。その会社だけの専用機(ややこしいですね)を作る会社にとなります。
機械メーカーや装置メーカーは、実際に製造してなくてもファブレスメーカーとして存在している会社も多数あります。その下請けとして機械設計製作会社がOEMやODMで請け負うという流れもあります。
ちなみに最近話題のロボットシステムインテグレータ(SIer)も機械設計製作屋でもあります。
定義はここまでとして、ミスミの「inCAD Library」からみた機械設計製作会社の未来について考えたいと思います。
結論から言うと、設計業務は人的な作業で且つノウハウが必要でしたが、将来は、ある程度、標準化・自動化が進むということです。
今は設計業務のノウハウは、個人のスキル・知識であり経験です。それがミスミの「inCAD Library」などにサービスが進むと、CADデータがダウンロードできれば、徐々にノウハウが要らなくなっていきます。
この流れはずいぶん前から予想してきました。
設計者のノウハウであるCADデータはデジタルデータなので、それを共有することは機密事項を省いて容易です。デジタルの特性上、コピーは簡単です。ただこの業界は機密を扱うことが多いので、それがネックでCADデータの共有は通常されません。
そこでミスミは基本機構については、機密事項にならないし更に自社で購入可のとなれば、基本機構のCADデータのライブラリを揃えるということは自然な流れです。
この大きな新しい流れが一旦始まったら、流れは止まることは無いでしょう。これは他のデジタルデータの扱いを過去に振り返ってみればわかることです。
人のノウハウがどんどんデジタル化されている製造業の世界。
より一層進んでいくでしょう。
その中で、差別化が難しくなっていく世の中で、如何に自社の強みを発揮しつつ成長企業として生き残るか。そのためのポイントは何んなのかは追求して行きたいと思う。
今の時代、ビジネスとしてやっていく為に、DXのように究極のデジタル化に向かうか、究極のアナログに向うのかが問われている。中途半端はだめ。(業種によりますよ。当然)今のところの答えは、究極のデジタル化するための判断ができる力を付けつつ、究極のアナログへ突き進むということかな。
— 井上雅史@船井総研/ドットコム化で製造業・ものづくり企業の強みを伝える (@masashi_i) June 26, 2019