4月以降の増税に備えた、駆込み需要が数字的に見ても顕著になっている。
●2014年1月の小売業販売額は、前年比+4.4%
●業種別に前月比をみると、「機械器具小売業」(前月比+8.0%)の伸びが目立つ
●家電量販店の売上速報をみると、駆け込み需要によって白物家電が好調に推移
●大手ソフトウェア会社のOSサポート終了の影響で、パソコンも好調
●「織物・衣服・身の回り品」(同+1.8%)「燃料小売業」(同+3.9%)が増加
○駆け込み需要を主因に増加基調が続く
経済産業省から発表された2014年1月の小売業販売額は、前年比+4.4%(コンセンサス:同+3.9%、レンジ:同+2.1%~+5.0%)とコンセンサスを上回る結果となった。前月比でみても、+1.4%と増加した。小売業販売額は、駆け込み需要を主因に増加基調で推移している。
業種別に前月比をみると、「機械器具小売業」(前月比+8.0%)の伸びが目立つ。家電量販店の売上速報をみると、駆け込み需要によって白物家電が好調に推移したほか、大手ソフトウェア会社のOSサポート終了の影響もありパソコンも好調に推移したようだ。また、「織物・衣服・身の回り品」(同+1.8%)、「燃料小売業」(同+3.9%)などが増加した。一方で、百貨店を含む「各種商品小売業」(同▲2.8%)や「自動車小売業」(同▲0.4%)が2ヶ月連続の減少となった。もっとも、百貨店売上高は夏場の停滞から持ち直していることや、業界統計における自動車販売は駆け込み需要を背景に高水準で推移していることから、大雪の影響は懸念されるものの2、3月は持ち直していくとみている。
なお、物価上昇の影響を除いた実質小売業販売額(実質化、季節調整は当社)をみると、前月比+1.4%と増加した。実質小売業販売額は上昇基調で推移している。ただし、自動車小売業が高水準で推移していることや今月の機械器具小売業の大幅増加に鑑みると、駆け込み需要による影響が大きく、駆け込み要因以外の基調は強くないとみている。(第一生命経済研究所 経済調査部)
増税後の展開として、消費税率引き上げ後も大崩れは回避されると予想されている。
しかし、賃金上昇は大手企業のみで、現実的は中小企業の大多数は円安に伴う原材料等の上昇で収益性が悪化方向にあり、賃金上昇はなかなか見込めない。
消費税率引き上げ後の4-6月期は、駆け込み需要の反動によって個人消費の落ち込みが避けられない。加えて、消費税率引き上げに伴う実質可処分所得の減少も個人消費の下押しとなる。しかし、そのまま大きく崩れることは避けられるものとみている。国内景気の回復に伴い、雇用・賃金の改善が見込まれることなどがその理由だ。賃金は長らく低迷が続いていたが、14 年度は企業収益の改善や賃上げ機運の高まりなどを背景に増加が期待できよう。また、公務員給与削減の終了が個人消費の押し上げとなろう1。総じてみれば、14 年度の個人消費は消費税率引き上げによる下押し圧力を受けるものの、雇用・賃金の改善などを背景に減少基調入りは避けられると予想している。(第一生命経済研究所 経済調査部)