人工知能の判断で敵を殺傷する「ロボット兵器」の規制を議論する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の非公式専門家会合が、16日に4日間の討議が終わった。
ロボットの能力や、人工知能(AI)のここ最近の進歩により、ロボット兵器が現実的なものになってきている。特に、人工知能での判断がどこまで出来るのかが問われる。
ロボット兵器規制、方向性出ず 国際会議
人工知能の判断で敵を殺傷する「ロボット兵器」の規制を議論する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の非公式専門家会合が16日、4日間の討議を終えた。多くの国がロボット兵器の発展が戦争の性質を一変させてしまうことへの危機感を表明。ただ、各国の立場の隔たりは大きく、規制の方向性は出なかった。
ロボット兵器は実用化されていないが、米国などが研究を進めている。飛行機や地上走行型の無人機に人工知能などを付け、遠隔操作することなく、敵味方を区別する。
会合には専門家や各国政府関係者が参加し、人道や法律などの各面で意見を交わした。ロボット兵器の定義を問う声もあったが、大半はそこまで踏み込んで交渉するのは時期尚早との姿勢だった。
ロボット兵器の開発を厳しくすれば、救助用ロボットなど人工知能を利用する他の民生品に影響が及ぶ可能性も否定できない。日本でも原発内部を自走するロボットの開発への影響を懸念する声がある。
記者会見した議長国フランスのシモンミシェル軍縮大使は「人工知能そのものの開発を規制しないことは、誰も疑っていない」と述べた。仮にロボット兵器が実際に利用されれば「国際人道法が適用されるのは確かだろう」とも語った。
今回の非公式会合は昨年のCCW締約国会議で開催を決め、ロボット兵器について初めて本格的に議論した。締約国は11月に議論を続けるかどうかを決める。
(ジュネーブ=原克彦) 日本経済新聞より