ものづくり経営コンサルタントの井上です。

最近、必ずチェックしているYou Tubeが「トヨタイムズ」です。

トヨタの動向が知れるのはもちろんですが、2020年の年頭挨拶をはじめ、豊田章男社長の言動が知ることが目的です。

日本の製造業のトップ企業であり、この変革の時に何を言うのかを注目してます。

更に今回は、労使交渉の2回目の動画も素晴らしく、後で読み返したいという思いもあり、豊田章男社長のコメント部分をすべて書き出してみました。

これだけの時代の変化の中、大組織を動かしていくその現場を見れて大変痺れます。

ただ、ものすごく「当たり前のことを当たり前ににやること」を重きを置いてます。私も中小・中堅企業の製造業ですが、毎日、経営者とお会いしてますが、なかなか「当たり前を当たり前に」出来いる方はすくないと思います。ぜひYou Tubeもご覧いただき、経営者の方は、自社に活かせるようにしていただきたい。

前回の労使協議会の最後に、事技系職場の「上司」という立場にある皆さんに対して「YOU」の視点をもってほしいということをお伝えしました。

本日は、特に執行役員、幹部職の皆さんに対し私が期待していることをお話したいと思います。
組合員の皆さんは、上司の判断に従って一生懸命、日々のオペレーションをまわしてくれています。
このことについては、感謝しかありません。
しかし、執行役員・幹部職が、組合員と同じ目線で一緒になって日々のオペレーションを回していては、仕事のやり方が変わることは絶対にありません。
今のトヨタの執行役員幹部職には、あるべき姿ばかりを主張する人が多いような気がします。
それは現実を知らないからであり「YOU」の視点が欠けているからだと思います。
あるべき姿を追求することは大切ですが、もっと大切なことはそれを実際の仕事に落とし込むことです。
いつも申し上げているように、これからの私たちは現在と過去の仕事をしっかりと遂行しながら、未来の仕事もしていかなければなりません。
特に未来の仕事というのは「解答も前例もない世界」になります。
この世界では、{PDCA」の中の「DO」が特に大切になると思います。「Do」をしては失敗し、また「DO」をしては失敗する。

執行役員や幹部職が、組合員よりも高い視点にたって成功するまで「DO」をし続けることが大切だと思うのです。
失敗という財産をどれだけ後輩に残してやれるかそれこそが、執行役員・幹部職の仕事ではないでしょうか?
基幹職の皆さんも、同じだと思っております。

昔から、昇格をした時には、「今の資格よりも2つ上の資格になった意識で仕事をしろ」とよく言われました。
これは、2つ上の目線で仕事をすることで上位資格になるための準備をさせるということだと思います。
昔は、課長の2つ上は部長でした取締役の2つ上は専務でした。
当時は機能別で仕事をすることが当たり前でしたので、部長でも専務でも「機能」の中での話だっと思います。
今は、基幹職の2つ上は執行役員です。執行役員の2つ上は社長です。今の執行役員は機能のトップではありません。
トヨタ全体を見渡し、決断をする経営陣です。
つまり、基幹職になるということは、機能軸ではなく経営の目線で会社全体を見て動くということです。

皆さん、ボスとリーダーの違いをご存知でしょうか?
イギリスの高級百貨店チェーンの創業者の方の言葉です。
その内のいくつかをご紹介したいと思います。

ボスは私と言う、リーダーは我々と言う。

ボスは失敗の責任をおわせる、リーダーは黙って失敗を処理する

ボスはやり方を胸に秘める、リーダーはやり方を教える

ボスは仕事を苦役に変える、リーダーは仕事をゲームに変える

ボスはやれと言う、リーダーはやろうと言う。

今回の「ボスとリーダーの話」をしたのには理由があります。

先日、トヨタ工業学園の卒業式がありました。
今年も明るく、礼儀正しい鍛え抜かれた若者の姿がありました。本当にトヨタの心構えを体現したような新しいリーダーたちを仲間に迎えることを大変頼もしく思いました。
一方、彼ら彼女らを迎える会社側はどなっているのだろうか。そんなことを考えました。
基幹職以上の皆さんのほとんどは、リーダーとして苦労しながらも、しっかりとやってくれていると思います。
しかしながら、当たり前のことを当たり前にできない基幹職以上の人たちがいるのも現実です。
本日、皆さんから、多くの仲間がやめていくること辞めたあとイキイキとしているという話を聞き、私は経営トップとして大反省しなければいけないと思いました。
前回の労使協議会でも、寺師副社長が「挨拶さえ、きちんとできていないのが今の事技系職場の現状だ」と言われていました。こういった基本的な部分が変わらなければ何も始まらないと思います。
基幹職以上の皆さんに対して、私が言いたいことは「当たり前のことを当たり前にやれる職場をつくってほしい」ということです。
朝はきちんと挨拶をする。
何かをしてもらった時には「ありがとう」と言える。
自分が開催した会議には、自分が一案先にいく。
いつも自分の会社や部署に呼びつけるのではなく、相手の会社や部署に行ってみる。
あるべき姿を追いかける前に、いま、自分たちがライバルに負けている現実があるならば、素直に負けを認めてみる。
設計図を書く、発信するメッセージをつくる、そういうことを全て、外部の会社にお任せしていないか、自分たちは手配とスケジュール管理をするだけの手配師になっていないかを振り返ってみる。
部下や後輩に「自分を超えてみろ」というえる技能が自分自身にあるかどうか考えてみる。まずは。こうした基本的なことから始めることだと思います。
これまで、私は、組織改正や人事制度変更のたびに階層を少なくして参りました。

これは、階層を少なくすることによって各ポストの役割や重要性を大きくし、各機能の目線でなく、より経営に近い目線で会社を動かしていける人を登用するということが狙いでした。
それ以上に、会社の中に根付いてしまっている「もっと偉くなりたい」という意識を「もっと成長したい」という意識に変えていきたいというのが私の思うところでありあした。
しかし当たり前のことが出来ない、組合員の見本にならない基幹職以上の人たちがいる、また、そんな人達が評価をされ上位に上がってしまった、これは自身の責任だと思っています。
私自身がこの事実にしっかりと向き合い見本となるべきリーダーを発掘・育てていく、それに向かって努力している人をしっかりと評価していく会社にしてまいります。
ですので、多くの心あるリーダーたちが率先して、新しく迎える仲間たちの見本となるような言動を堂々と、自信をもtってやってください。
それがトヨタから機能のボスをなくしていくことにつながると思っておりますので、ぜひと協力板空きたいと思います。

最後に、係長担当者として組合員の時から私と一緒に仕事をしている友山副社長は、私のことを何と呼ぶか「ボス」と言っています。しかも、自分が副社長になってから自分のことはボスと言え、そして、私のことは大ボスと言うようになりました。
ただ、またこの右側にいるルロアさんも20年前にトヨタに入ったわけですが、ご自身のポケットの中にはいつも「Don’t please your boss」「ボスの言うことは聞くな」ということで私の言うことは聞きませんし、私のことはボスと言っております。
その現実を、皆様にお伝えすることは今日の議論に対する私の真摯な感謝になります。
今日も双方が、変革を妨げる職場風土、そして実態・課題について、真摯な話し合いをしてくれたことに対して、感謝申し上げたいと思います。

トヨタイムズでこれは、社外の方も見ます。
そして、社内の人も見ます。
Face to Faceで聞かれた皆さんが職場の皆さんに正しく正確に臨場感を持ってお伝えいただきたいと思います。
今日はどうもありがとうございました。

トヨタの組織変革のリアル
2019年と2020年労使交渉の比較
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