製造業経営コンサルタントの井上です。
Twitterで「下請け」と検索したら、いろいろ問題が起こってますね。
下請けは何もさからえないですからネェ(´д`|||)💦 https://t.co/WN6dX6SfXH
— ♪eternal-love♪ (@BeatBlack) 2018年8月1日
IT業界は多重下請けだが、これは一般論。本質的には御用聞き(SIer)、手配師(二次請け)、人売り(3次請け以下)の3層構造。SIerが客の御用を聞き、彼らがパートナーと呼ぶ二次請けが技術者を「調達」する。三次請け以下のベンダーはその調達先。こう書くと、どんだけ問題ありか、アホでも分かるはず
— 木村岳史(東葛人) (@toukatsujin) 2018年7月30日
製造業に関しては、この様な問題は起こってないですが、工場閉鎖、工場移転などにいたして意見がある方もいますね。
これをやられると工場の地元が死ぬんだよ。下請け工場、部品納入業者も当然死ぬし、そこの従業員やらが買い物をすることによって生きてきた商店も死ぬ。「工場が閉鎖、移転」って簡単に言うけどさ、その後は死屍累々なんだよ。日本の地方が死んだ理由、工業団地がもぬけの殻になったからだと思うよ
— なぢ 8周年記念 (@nadhirin) 2018年8月3日
下請け企業は、基本的に企業規模が小規模で主要顧客が数社に依存しており、さまざまな問題に対処できないという論調が多いと思います。
製造業以外の建築土木業やIT業界など、製造業からみると求められる精度?やや粗くても、押し付けて、無理にやらせてもなんとか落ち着くのかもしれません。上記のように法を破るのは論外ですが。
製造業の場合は、精度(ミクロン単位など)やその他仕様や納期または最近はトレサビリティなども要求されるので、しっかり出来なかったら、そもそも元請け企業(大企業)が困ってしまいます。半導体装置メーカーのサプライヤーが適当な部品を納入していたら、半導体製造装置が性能がでず、製造する半導体の歩留まりなどに影響がでてしまいます。
以前、下記のような問題が起ってます。
大韓航空のエンジン火災、製造ミスによる部品破断が原因か
吉田 勝=日経 xTECH/日経ものづくり2016年5月に羽田空港で発生した大韓航空機のエンジン発火事故は、製造時の不具合によってタービンディスクの一部が破断したことが原因と考えられることが分かった。事故原因を調査していた運輸安全委員会が調査報告書を公開した(調査報告書、説明資料)。破断した破片がエンジンケースを貫通した際に漏れた燃料・潤滑油に引火したとみられる。(日経クロステックより)
ちょっとした加工ミスが大事故になってしまう可能性を秘めていいます。
下請け企業は、受託製造業と言われてます。
下請けなので、自社製品を持っていません。
ものづくりではありますが、サービス業と捉えた方が良いでしょう。
製造業でありながら、サービス業の要素も持っています。
下請け企業(受託製造業)は何を顧客に提供しているのか?
それは顧客要求仕様に対して、仕様を満たしQCDを提供しています。
詳しくは下記の記事をどうぞ。
下請け企業(受託製造業)が製造業であり、サービス業であるという前提において、どうすれば良い会社になれるのか?
サービス業的要素で、下請け企業(受託製造業)は、受託製造業であり顧客からの受注がないと物が製造できないということです。
メーカーであれば、自社製品を持っているので、在庫を持つ場合は生産計画を立てて適正在庫を維持するために、作りだめをします。
作るものが”事前に”分かっているからです。
下請け企業(受託製造業)の多くは、個別受注型の製造業が多く同じものを多く作る量産型ではないことが多いです。
受託型でも量産の場合は、中堅企業以上の規模の大きい会社が仕事を持って行ってしまいます。
量産はコストは厳しい部分もありますが、生産の工夫によっては利益を多く出せる可能性があります。(場合によりますが。)
中小企業が受ける個別受注型では、量産効果は出すことができません。管理も煩雑になり、実は大変です。
その様な特性であるので、表題にもある「下請け企業の活きる道」を考えてみたいと思います。
いつも受注に社長が追われて、現場は短納期の仕事を抱え、残業でなんとか熟してますが儲からないという悪循環です。
また個別受注なので、毎回のように仕様が変わることが多く、不良が出しやす。また品質不良を無くすために、改善活動も現場でリーダーシップを取ってまとめるリーダーも満足におらず、また悪循環。。。。
では、何から取り組むべきか?
まずは、いかに工程負荷を考えた上で、多くの注残を抱えることが重要です。
工程負荷を大きくオーバーした無理な仕事量を一時的に取るということではありません。
自社の工程負荷を考慮した上で、残業を適正に管理した上での注残です。
この注残が、例えば10憶規模の設計製作会社では、現在の景気では1年ほどの注残を持つことも可能だと思いますが、通常でも6か月分の注残を持つことが必要です。最低限、Aランク案件を含めても。案件化してから、仕様検討して設計、製作と逆算すると1000万以上の物件は、6か月程度かかります。ということは、現在交渉して受注しようとしている案件は、少なくとも4~6か月以降の売り上げになるはずです。もっと先の案件もあるでしょう。
このような設計製作会社やロボットシステムインテグレーターなどのは、6か月以上の注残があり、先行管理が出来るはずです。
部品加工業の場合は、その先の業界の影響を受けます。フォーキャストができるような業界の仕事をしている場合は、2か月程度は大日程が組めるくらいの仕事の内容がわかるはずです。
自社がどの程度、先行で仕事が読めるかが物凄く重要になります。
営業担当者は、この先行での受注状況をしっかりと把握できてない人が、7~8割は経験上います。
受注状況が変わるからとか、情報を流してももし変わったら、工場から文句ができるからなど、理由はさまざまです。
客が言っているから、という魔法の言葉で、自分たちの仕事を曖昧にしがちです。
製造業が、利益を出すために計画的生産がもっと重要です。
その為には、前工程の情報の重要になります。製造の前工程の営業の情報、製造部門では、各工程の前の工程の情報。
受託であっても工程は組みます。
その工程に対して計画的に取り組み、異常がでたら対処していくことができます。
計画が曖昧だと異常も検知できません。
まとめると、
●出来るだけ安定して受注をして、注残を多くもつ。
●多くの注残を持つことによって、生産計画を立てることができる。
●その生産計画によって統制がとりやすくなる。
●当然、残業を抑制しながら、生産ができ収益性を向上できる。
●多くの注残を持つことによって、より先の受注を取ることに集中できる
●先行で受注を取る仕組みを作ることによって、自社の未来について考える余地が生まれる
このように、先行で受注し注残を多く持ち、できるだけ計画的な生産をすることによって良い製品を生産することができ儲かることが「下請け製造業が活きていく道」の第一歩だと思います。
【コラム】デジタル時代の人材育成・教育シリーズ
< 目 次 > 第1回目:デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは? 第2回目:今後の中小製造業の仕事は誰がやるのか? ◆「機械・ロボット」にさせる仕事 ◆「システム・AI」にさせる仕事 ◆「人間」がするべき仕事 ・誰でも出来る化 ・高度な専門職(職人) ・管理職 第3回目:中小製造業の人材育成・教育の実態 ◆大手に比べて人材の質も比較すると低く、教育の仕組み化も弱くのに教育していない現実 ◆OJTという名の丸投げ無責任体質で「教育品質」のバラツキが大きい ◆ISOでの形だけの教育計画 第4回目:「御社の社員の一人前基準・目安」は何ですか? ◆何が求められるスキルなのかを明確にする➜目次化 ◆職種別の一人前基準を明確にする ◆「一人前基準」は自発的に伸びる社員の道標になる ◆部品加工業におけるスキルマップの事例 第5回目:人材育成・教育は、コンテンツ化が重要。コンテンツ化して「資産化」しろ! ◆「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ ◆デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」 ◆「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用 ◆「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する ◆コンテンツのアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要 第6回目:難易度の高い業務ほどOJTという名の人任せでなく教育方法を「研究」する ◆教育する事が良い事であると勘違いしている ◆難易度が低い業務ほどマニュアル化(明確化)されているが、なぜか難しい業務ほど人任せの現実 ◆習得に時間がかかる(難易度の高い)業務ほど、ノウハウの現場の職人依存の現状 第7回目:教育することも工数がかかる。教育工数を削減も ◆「コンテンツ化」すれば、教育する工数を減らせる(人が教えなくて良い状態」を作る) ◆教育の「コンテンツ化」=「教育する工数削減」=「技術伝承がしやすい環境」 第8回目:製造業の評価制度はスキルが明確でなくければ上辺だけに評価制度になる。(人材育成と評価制度の関連性)