今後の製造業は、生産技術と教育をブラックボックス化にすることが重要
製造業経営コンサルタントの井上です。
生産技術という概念は大手企業は当たり前ですが、中小企業(50〜70名以下とここでは定義)の場合はそれ自体人が避けないという理由で、組織図にはケースが多い。そもそも生産技術という考え方がない企業も多い。
単純に言うと、良い物を安く作る技術が生産技術です。今後は、この生産技術は自社でブラックボックス化をできるだけしていくことが競争力につながると考えてます。
今日は、製造業における生産技術について考えていきたい。
生産技術とは?
まず、生産技術の定義を確認してみましょう。
生産技術(industrial technology)とは、工業製品など具体的に「もの」を作っていく際に、設計する工程(計画)と、それに従い実際に「もの」を作り出す工程(生産)をつなぎ、いかにして品質高く、作りやすく、効率的に生産するか、という方法を工程として設計する技術を指す。(wikipediaより)
要するに、物を良い物を安く、効率的に作る為の作り方に関する技術というこです。
製造業における生産技術の現状及び強い会社
<大手企業〜中堅企業:量産>
製造業において、量産がメインである大手企業は、当然、生産技術という部署があり概念はある。大手企業は部署があるだけでなく、「生産現場=作り方」を自社のノウハウとして、ブラックボックス化した方が良いという流れになってきている。
代表的に言われている企業として、代表的に語られる企業として2社がある。
●株式会社村田製作所
現場を訪れて見えた、村田製作所の4つの強さ(佐伯 真也 日経ビジネス記者)
2019年5月31日高い参入障壁をさらに高くすることも忘れない。その代表が「垂直統合」の考え方。素材から製造装置までを自前で手掛け、製造工程をブラックボックス化することで、他社が簡単にはまねできない仕組みを作り上げた。(日経ビジネス電子版より)
(株)村田製作所はセラミックコンデンサなどの電子部品を製造している。記事にあるように”製造工程をブラックボックス化”することで他社に真似させない強さを持っている。
●ファナック株式会社
ロボット部品の加工、ファナックが「夜間」無人化 1カ月連続稼働
2019年10月19日 テクノロジーファナックは720時間(1カ月間)連続稼働できるロボット部品の加工工場で、夜間の操業を無人化した。ロボットやセンサーなどを駆使して工場の自動化(FA)技術を磨き、設備の稼働停止率を0・1%以下に抑えた。同社のIoT(モノのインターネット)基盤「フィールドシステム」も導入し、現場のデータを活用したさらなる改善にも取り組む。
ファナックの場合は、生産技術のブラックボックス化ではあるが、更にそれを自動化で生産できるだけの生産技術力と何よりも製品設計からしっかり考えて開発をしていることが上げられる。以前、ファナックとロボット活用のセミナーを行った時に、その詳細を聞いています。
いずれにしても強い会社は、重要な部分を独自のノウハウと自社でできる体制があるということが言えます。
少し余談ですが、業務に関してはデジタル化が進みシステムを活用していく流れが加速しています。そのシステムを今後は、内製化していくことによって差別化できるという考え方も同様になり、その関連書籍がベストセラーにもなっています。
<中小〜小規模企業>
中小〜小規模の製造業の多くは、量産というよりは個別受注の多品種少量生産が多くを占めています。
50〜70名以下の製造業の場合は、人員の少なさもあり生産技術という部門はほとんどありません。ただし、生産技術という考え方や機能を持つことは必要です。
今後の製造業における生産技術の考え方
<大手企業〜中堅企業:量産>
大手企業の場合は、装置メーカーやエンジニアリング会社がいろいろ提案をしてきて、徐々に他力依存が板に付いてきてしまっている。トヨタですら”手配師”に成り下がっている現状がある。今回のトヨタイムズの労使協議の中で豊田章男社長が言われています。
設計図を書く、発信するメッセージをつくる、そういうことを全て、外部の会社にお任せしていないか、自分たちは手配とスケジュール管理をするだけの手配師になっていないかを振り返ってみる。
部下や後輩に「自分を超えてみろ」というえる技能が自分自身にあるかどうか考えてみる。まずは。こうした基本的なことから始めることだと思います。
他社も導入可能な生産設備などで生産をしていたら、単純な話、その装置メーカーから装置を購入すれば誰も生産ができることになります。
切削加工などは、優秀な工作機械メーカーが多く存在しているので工作機械を買えば同じ加工ができやすい。歴史的に見ても、太陽光パネル生産に関しては、歴史が証明している。
また液晶パネルもしかりである。
そうでない分野も当然ある。半導体に関しては、半導体製造における化学的要素も製造現場でも必要で装置を替えば済むということではないことと、装置価格が非常に高額な為、どれでも装置を買えば生産できるということではない。
量産をされているメーカーなどは、競争力を確保していく場合、何(商品)を作るかが一番重要ですが、どのように作るか(生産技術)のブラックボック化、グローバル化が本格化してきた今日重要性を増してきてます。
<中小企業:個別受注型の多品種変量生産>
中小企業の場合は、そもそも製造業として必要な機能をあまり意識せずに日常を過ごしていることが多いです。確かに人員の問題をありますが、機能として持つべきものは専任はいなくとも、機能として社内で持てるように考えて行動していくことが必要です。
中小企業はいままでは、一人複数約を演じつつ職人と言われてそれを補ってきました。現状は、様々な選択肢もあり、時間をかけてスペシャリストになる人材も少ないのが現状です。またテクノロージの進歩によって、システム・AIや装置、ロボットが代替出来る分野もどんどん広がっています。
中小製造業の場合は、生産技術という機能を意識しつつ、まずは作業を標準化してそれを人間以外でできないかということを検討を早めたほうが効果が高いです。また中小製造業の生産技術においてブラックボックス化にすべきことは、自動化エンジニアやITエンジニア的な人材を育て最適な装置やシステムをまずは選定できることが重要になります。
装置メーカーやシステムを販売する会社は、自社が売りたい商品を売ります。本当に自社に必要なモノは何かを把握して、選択していく力が現状は重要です。
その先で自動化・システム化を自社で開発していく必要があればチャレンジを少しづつしていけば良いと思います。私のクライアントでも100名以下の会社でも、数社SEを社内で雇って自社システムを開発したり、自動化のエンジニアを育てたりしている企業があります。
そして生産技術から少し離れますが「職人」というブラックボックスがあったとしても、その「職人」の過程を動画でとったりIoTでデータを取って分析していくことや、スキルをできる限り分解して教育を実施するのでなく、「教育方法の研究」というレベルにしていく必要がある時代に入っています。
それぞの規模や業態が製造業があるので一概には言えませんが、大きの方向性は間違いなくあります。
自社で取り組めることを取り組んでいただきたい。
<大手企業〜中堅企業:量産>
●自分たちは手配とスケジュール管理をするだけの手配師になるな。
●部下や後輩に「自分を超えてみろ」と言える技能が自身にあるかどうか考えてみる
(by トヨタイムズ 豊田章男社長)
●他社も導入可能な生産設備などで誰も生産ができ競争力を失う
●量産メーカーは競争力を確保していく場合、何(商品)を作るかが一番重要ですが、どのように作るか(生産技術)のブラックボック化、グローバル化が本格化してきた今日重要性を増してきてます。
<中小企業:個別受注型の多品種変量生産>
●中小企業の場合は製造業として必要な機能(生産技術等)をあまり意識していない
●人員の問題をあるが機能として持つべきものは専任はいなくとも機能として社内で持てるように考えて行動していくこと
●中小企業は時間をかけてスペシャリストになる人材も少ないのが現状で、テクノロージの進歩によって、システム・AIや装置、ロボットが代替出来る分野もどんどん広がってきているので、作業を標準化してそれを人間以外でできないかということを検討をすること
●中小製造業はまず最適な装置やシステムをまずは選定できる人材を社内で持つこと
●装置メーカーやシステム会社は自社が売りたい商品を売るので、自社に必要なモノを正しく選択していく力が重要
●その先で自動化・システム化を自社で開発していく必要があればチャレンジする
●「職人」というブラックボックスがあったとしても、その「職人」のスキルを分解して「教育方法の研究」する時代である