設計製作の設計支援ソフトなどによる設計自動化の未来

ものづくり経営コンサルタントの井上です。

ここ数年デジタル化が進展して、あらゆるものがデジタル化されてきた。CDがmp3になり現在はストリーミングで聴く。また地図はもちろんGoogleマップでスマートフォンの中へ。電車の時刻表も当然スマートフォンの中に。書籍も大分電子書籍が当たり前になってきた。

物理的なな”モノ”がなくりデジタルになってしまったものも多数あり、製造業コンサルトとしてはやや寂しい部分もありますが、時代の流れテクノロジーの流れには逆らえないです。

もう少し言うと世の中はテクノロジーの進化で変化していると言えます。この流れが止まることはありません。

世の中の”モノ”が一旦デジタル化になり、そこに一定のルールがあれば更に自動化できてしまうという流れがあります。その流れが機械設計の世界にも徐々に訪れると予想されます。

ミスミのiCADライブラリー

ミスミは以前から「IN Cad Library」という標準的な機構の3DCADデータを会員に無料で提供していました。これは使用される機器がミスミの商品であり、部品の拡販の1つの手法として取り組まれてきました。私の機械設計製作会社にも、3DCADデータの買取だったと思いますが、依頼が数年前から来ていました。

このような地味な取り組みをしつつ3DCADデータを収集して、知見を集めて来ていました。その後は、いろいろな展開をして来るだろうなと予想していました。

この「IN Cad Library」は若手設計者が自分で自分の設計力を上げるための教材になったりしており、非常にありがたい存在です。

ミスミの筐体などの設計支援ソフト

デジタル化の流れの中、ミスミがフレームの自動設計支援ソフト(無料)を発表した。詳しくは、下記の記事を見て頂きたい。

ミスミが設計や発注の支援ソフトを無料提供!最大90%の時間短縮
2020年03月24日 

設計製作の設計支援ソフトなどによる設計自動化の未来1

ミスミグループ本社は製造装置などに使うアルミニウム製フレーム筐体(きょうたい)の設計から部品発注までを支援するソフトウエアの無料提供を始めた。マウスで絵を描くように形状を決めると、大きさに応じて同社製品からフレームや締結部品などが選定され、用途に応じて部品を絞り込むだけで図面を作成できる。同時に部品表が作成され、そのまま見積もりや発注が可能だ。従来のCADソフトを使う場合と比べ、設計や発注にかかる時間を最大90%短縮できる。(日刊工業新聞 ニュースイッチより)

この「ミスミフレームズ」の及びその後の流れは、以下の通りです。

 簡単なマウス操作で線を引きながら形を決める
       ↓
 部品が自動で選定される
       ↓
 用途に応じて各部品を絞り込む
       ↓

 筐体図面を作成
       ↓
 選定部品の表や組み立て図面を自動で作成
       ↓
 設計後は同ソフトで価格や納期を含めた見積もりが瞬時に可能
       ↓
 ミスミのサイトと連携してそのまま発注可能
       ↓
 発注した部材は一つの商品型番にまとめてプラモデルのキットのように梱包出荷

効率化が、

部品表作成などを含めた設計時間を、従来1時間前後かかっていた作業台で約20分、同1時間半以上の安全柵で約30分、同2時間超の装置カバーで約40分に短縮できるという。

3分の1程度向上するようです。

デジタル化が進んだ機械設計の世界

設計に限らず歴史的にデジタル化できたモノは、アナログに戻ることは有りません。設計も昔はドラフトで手書きしていたものが、CADになり未だに手書きで機械設計されている設計者はいないと思います。

いずれにしても機械設計は自動化される部分が増えていきます。

かなりの部分が自動化されるが、構成する部品など要素が多くその部品や材質の知識も膨大ということと、最終的に人間の判断が必要となります。またメカ的な干渉や強度などは自動で良否が判定できるが、現実のものづくりになった時の微妙な部分は”経験”が重要になります。

今後は”経験値”を経験しなくても習得できる教育の仕組みやその”知見”を因数分解してできるだけ明確化をした設計製作会社がより強く大きくなっていきます。

機械設計制作会社やロボットSierでは、常に設計者がいない、採用できないと嘆いています。その反面、設計者を育成出来ずにいます。設計者が忙しいから教育も計画的に行われていません。スキル分析もできている100名以下の会社で設計者が15名以下では、まともに出来ている会社はありません。

設計業務もそうですが、習得期間が長くかかり習得すべき技能が複雑多岐に渡る業務はより、教育を実施することは当たり前に、更に教育方法を研究することが必要と考えています。