ものづくり企業の経営コンサルタント 井上です。
最近、少しづつ製造業(機械・装置等)でもサブスクリプションモデルが出てきたので、少し考察したいと思います。
サブスクリプションモデルとは?
サブスクリプションモデル(方式)とは、定義は下記のとおりです。
サブスクリプション方式はビジネスモデルの1つ。 利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。 (サブスクリプション方式 – Wikipediaより)
わかりやすいところで言うと、Netflixなどの定額サービスである程度の量を使用できるというモデルです。工業系では、設備の保守サービスがそれにあたります。
装置や機械のサブスクリプションも選択できるメーカーが増える
私の関係先は装置・設備・機械などの設計製作会社や製品を持っている装置メーカーが多いです。現状、既に取り組んでいるメーカーもある。
装置・機械では、基本的なサブスクリプションサービスはこの様になっている。
●使用期間 : 短期間での使用が可能。(単年、3年間、5年間、7年間など)
●定期点検 : 年1回定期点検 無償
●契約終了後: ①機械買い上げ
②機械返却 1)別の新しい機械に乗り換え など
●定期料金に含まれるサービス : ①輸送・据付費 / ②事故保証 など
その他、装置の特性によって条件を変えていくケースもあります。
製造業のサブスクリプションモデル実例(2019年10月現在)
ハイデルベルグ・ジャパンは、10月11日、国内初となるサブスクリプション契約を石川県の北陸サンライズと締結し、それに伴う記者発表を東京都品川区のハイデルベルグ・ジャパン東京カスタマーセンターで行った。
日特陶が自動盤向けに 利用料はオープンだが、消費税抜きの利用料は月額2300円程度から。年1回交換できる「ライト」、同5回の「ヘビー」、交換は1回だが必ず新品が提供される「プレミアム」の3プランを用意。SSバイト
製造業のサブスクリプションモデルの有効性
製造業では、結局、リースや分割販売と何が違うの?という疑問がでてくる。当然、工具などはリース販売をしないので、新しいとなるが、そもそも変動費である工具が、固定費化するだけの有効性があるかよく検証が必要である。
消耗品は有効性は高いと考えられる。有効性をもう少し具体的に明示しようと考えてみたが、製造業における消耗品は「モノタロウ」で扱ってもものになるので、かなり特性にバラエティに富んでいて、単純化しずらい。原則はその都度、有効性を確認していくことはより重要といえる。
設備・装置・機械系でのサブスクリプションモデルの条件が、単純に定額性のリース販売的なのか、稼働に応じた課金性にするのかによっても変わってくる。より有効性を高める為に、IoT的に稼働監視ができるとよい。
その上で、有効性が高い設備・装置は、イニシャルコストが大きくかかる設備・装置には、上記のハイデルベルグの印刷機械の様に有効性は高い。前提は稼働率が高く、高いと収益が上がるビジネスモデルである印刷業界では、サプライヤーと事業者のメリットが一致する。設備費が高く、稼働率が低い場合は、事業者は良いが設備サプライヤーは儲からない。
ここでマトリクスでまとめてみようと思ったが、製造業のサブスクリプションモデルを一概に有効性を示すことはやや適さない。
製造業のサブスクリプションモデルは、商品特性で有効性が大きく変わってくる。
サブスクリプションモデルを導入するサプライヤーは、しっかりとビジネスモデルが有効かどうかの検証をしっかりすべき。
サブスクリプションモデルを活用しようとする事業者も、同様であるが解約が容易にできるかどうかも重要。縛りが多いとやや疑った方が良い。