製造業経営コンサルタントの井上です。
コロナウィルスが日本で警戒しだしたのが3月ころからで、まだ3ヶ月程度。叫ばれていた「経済危機」が段々現実味を帯びてきました。既に、その影響をもろに受けている「宿泊業」や「飲食業」など馴染みがあり目に見えやすい産業に関しては、連日、テレビでも報道されています。
今回の危機は需要の減退が消費財・生産財(設備財)同時に起こっていることや、供給面での制約をでているなど、全面的であり、世界同時危機という側面があります。
では「コロナ危機」の危険な性格を見ていきたいと思います。
実施GDP成長率
上記の資料はあくまでも現時点でわかっている統計データを元になって予想されてます。従って、数ヶ月後、状況が悪化した場合は、より長期的に悪くなることは確実になります。
現状では、2020年の世界の実質GDPの減少は▲5.2%を予想してます。日本においては▲6.1%になります。これは世界も日本もリーマンショックの時よりも悪くなると予想されています。この様な予想が出ていますが、メディアも含めあまり経済的な危機感が無いです。それは株価が上昇しているという表面上悪く見えないということも要因と言えます。
失業率
失業者数や失業率などは、欧米などは解雇ができるので上昇するのは必然です。リーマンショック以上に既になっています。
リーマンショックの時もそうでしたが、就業人口の多い製造業の話題は今回もまだまだ少ないと感じています。ハッキリ言って日本で非常に大きい産業である自動車産業の鉱工業生産指数が4月55.3と驚異的(?)な落ち込みを見せています。
商品別輸出額を見ても大きな落ち込みを記録してます。またトヨタ自動車もリーマンショックよりも悪くなると今期の生産台数が20%減を予想。(リーマンショック時、約15%)
このようにまだ「コロナショック」中であり、まだまだ続く前提と思います。既に、製造業は大不況が来る前触れが見えています。
各国の感染拡大後に辿るシナリオ
ユーラシアグループ代表のイアン・ブレマー氏の分析によれば、各国の感染拡大後に辿るシナリオは、上記のようです。先進国が抑え込んでも、発展途上国は都市封鎖など実施的にコスト、実行可能性からみた場合難しいのが現実。それによって、世界での資源などの生産や流通に問題が起こり先進国にも影響を及ぼします。
「コロナ危機」の危険な性格→需給両面でのショック併発
第26回 産業構造審議会総会の資料では、国境封鎖、外出制限等の移動制限により、供給ショックと需要ショックが併発して経済に大きな影響を及ぼすとしています。
供給ショック:グローバルサプライチェーンの寸断、サービスの提供停止
需要ショック:対面サービスや人の移動に関連した需要の蒸発
今回の「コロナ危機」の経済的な危険な性格として、需要ショックにあるように、人と人の接触、人の移動に関してウィルス感染の危険性があるので禁止・制限される。そこで対面サービスをする関連産業は需要がなくなっていく。
それと各国の感染拡大後に辿るシナリオの違いが、より感染収束を遅らせるという要因も大きい。
またワクチンが出来たとして、何十億人に直ぐに接種できるほとの生産能力はない。まだワクチンができる保証もない。
この危機は非常に危険な性格をしていると言えます。
戦後の国際社会がこれまで経験したことのない、未曾有の経済危機が待ち構えていることを前提として、今後の活動をしていかないと行けない。
各国政府は過去最大規模の経済対策を実施
「コロナ危機」はかなり危険な性格をしている。その為、政府は早急に財政政策を打ち出している。リーマンショックの数倍になる規模になりそうです。どこまで有効なのか疑問ですが、無いよりはマシかと思います。