ものづくり企業 経営コンサルタントの井上です。

毎月鉱工業生産指数等を品目別などで伝えていますが、日本全体の製造業の景気関係や生産動向などを伝えてなかったので、今後、全体をお伝えしていきます。その中で気になる動きは、この場で伝えてきます。

今回は自動車部分品・附属品製造業について

金属製品工業の衰退

前回より、金属製品工業、金属部品加工業の動向を事業所数や製品出荷額等、付加価値額から見てきました。

今回は、量産品の多い自動車部分品・附属品製造業を見ていきます。前段の金属製品工業の動向については毎回記載していきます。前回読まれた方は、飛ばして次の段落へお願いいたします。

金属製品工業、いわゆる金属加工業にあたります。金属製品といえば多種多様な製品があり、その総和になります。

結論からいうと、金属製品工業のトータルの市場規模は減少傾向にあります。

上記の図を見てもらえるとわかりますが、生産指数のトレンドが右肩下がりになっています。

大きな要因としては、材質変更で金属から樹脂になるなどの要因後は国内生産から海外生産に変更になったなどさまざまな要因があります。

金属製品工業の中には製品自体を製作しているメーカーもあれば、その加工を受託している受託加工業が多くあります。

その中で半導体製造装置や工作機械などの機械部品や金型部品、また量産の自動車部品を加工している業界の動向を少し見たいと思います。

自動車部分品・附属品製造業の現状

金属製品工業(金属製品製造業)の中の部品加工業は工業統計上では、

産業分類2590 その他のはん用機械・同部分品製造業
産業分類2634 繊維機械部分品・取付具・附属品製造業
産業分類2663 金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業(機械工具、金型を除く)
産業分類2690 その他の生産用機械・同部分品製造業
産業分類2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業
産業分類2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
産業分類2699 他に分類されない生産用機械・同部分品製造業
産業分類3113 自動車部分品・附属品製造業
産業分類3120 鉄道車両・同部分品製造業
産業分類3122 鉄道車両用部分品製造業
産業分類3149 その他の航空機部分品・補助装置製造業
産業分類3150 産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業
産業分類3151 フォークリフトトラック・同部分品・附属品製造業
産業分類3159 その他の産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業

に主に分類されます。

今回は、量産品の多い「自動車部分品・附属品製造業」に焦点を当てて、事業所数や製品出荷額等、付加価値額(従業者29人以下は粗付加価値額)の動向を見ていきます。

自動車部分品・附属品製造業の事業所数・製品出荷額から見える現実

(工業統計表 産業別統計上より筆者作成)
(平成27年(2015年)における数値は、「平成28年経済センサス-活動調査 製造業(総務省・経済産業省)」の調査結果のうち、工業統計調査の調査範囲に合わせるため、以下の全てに該当する製造事業所について集計したものであり、斜体で表章してある。
・従業者4人以上の製造事業所であること
・管理、補助的経済活動のみを行う事業所ではないこと
・製造品目別に出荷額が得られた事業所であること)     ※以下、工業統計のグラフは同様です。

2015年の事業所数だけは集計方法が違うみたいなので、その点は考慮が必要です。

自動車部分品・附属品製造業の2018年/2014年対比で事業所数は92.5%、製品出荷額が117.6%でした。

前回の金属部品加工業の全体では、2018年/2014年対比で事業所数は94.8%、製品出荷額が118.7%でした。

全体に比べると事業所数の減少幅が大きくなっています。

製品出荷額=市場規模と捉えると、成長している分野と捉えることができます。ただ2018年の自動車工業の生産は鉱工業生産指数で見ても、高水準にあった年だったので少し考慮が必要です。

4名以上の事業所では事業所数が減少トレンドにあります。これを4名以上30名未満と30名以上の事業所別で見ていきます。

(工業統計表 産業別統計上より筆者作成)

製品出荷額等を、4名以上30名未満と30名以上の事業所別の上記のグラフを見ると一目瞭然ですが、30名以上の事業所の方が事業所数も伸び、製品出荷額等も伸長しています。

反対に、4名〜30名未満の事業所では、事業所数が減っている中、製品出荷額も減少しています。

(工業統計より 筆者作成)

事業所規模別の事業所数と製品出荷額等、従業員数の割合は上記図表の通りで、事業所数は約4名〜30名未満で約60%弱で、製品出荷額等は約2〜3%程度しかありません。従業員数割合でも約7%と少ない割合になってます。

金属部品加工業全体では、事業所数は約75%が4名〜30名未満で、製品出荷額等は約8%以下、従業員数は約19%でした。

前回の金属部品工業全体から見て、量産部品が多いので企業規模が小さい会社は少ないと言えます。またその減少の仕方が、全体と比較しても大きくなっています。

30名以上の事業所数は増えていますが、4名〜30名未満の事業所数は大きく減少しています。これは儲けがでていないから淘汰されていると思います。付加価値額の動向も見ていきましょう。

ここには4名未満の事業所は含めれていません。4名未満の事業所の動向はより厳しいものになっている想像できます。

自動車部分品・附属品製造業の付加価値額から見る現実

(工業統計より筆者作成)
(工業統計より筆者作成)
(工業統計より筆者作成)
(工業統計より筆者作成)

上記3つのグラフを見てもらえば一目瞭然ですね。

また従業員一人当たりの製品出荷額等や付加価値額の金額を見ても一目瞭然です。規模が大きいほど、付加価値額が多く収益性が高いと考えられます。前回の金属部品加工業全体よりも30名以上の規模では1名当たりの製品出荷額等、付加価値額が高い水準になっています。ただ4〜30名未満の規模の従業員1名当たりの製品出荷額等と付加価値額に関しては、全体の金属部品加工業とほぼ変わらないとという結果になっています。

まとめ

今回は、自動車部分品・附属品製造業をの4名以上の事業所別の製品出荷額等や付加価値額の傾向を見てきました。
結論として、量産品が多い業種なのでより規模が大きい方が収益性が高まり、事業所の淘汰も規模が小さい方が激しい(減少が多い)といえます。
ただこの工業統計は、現状では2018年が最新なのでやや古いデータをもとにしているので、2020年はより上記傾向が強まっていると予想できます。数値を見るのも良いのですが、把握すべきはトレンドです。どの方向に物事が動いているのかを把握することが重要です。

中小の金属加工業の 今後、未来とは?
多品種少量の切削加工業の今後、未来とは?
デジタル化時代の中小製造業の人材育成・教育シリーズ|第1回目 デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは?

日本の製造業全体の市況・景気動向

まず全体傾向

日本の製造業購買担当者景気指数がもう少しで50に。49.7。上昇トレンドに。

日本の製造業購買担当者景気指数

景気の良い悪いの判断とされるのが「50」が基準になります。

製造業購買担当者指数(PMI)を見ていくと、全体の動きは捉えやすい。

次に鉱工業生産指数と見比べてみましょう。

日本の鉱工業生産指数

鉱工業生産指数は国内での生産にあたるので、より実態に近い指数になります。

鉱工業生産指数は、2015年=100であるので、見え方は違って見える。PMIと時間軸が少し取り方が違うので見にくいが、概ね動きが合っている。鉱工業生産指数の方が、大味な感じ。ただ、鉱工業指数は品目別などで見るとより動きが見える。

製造工業生産能力・稼働率指数 


その他 経済指標グラフ化一覧

最新の経済指標をグラフ化して見ることによって、経済トレンドを把握することが重要。工作機械受注高、鉱工業生産指数、製造業国賠担当者指数(中国)(EU)、設備稼働率(米国)等を押さえておきましょう。

経済指標名
  産業機械 受注統計
 工作機械受注高 鍛圧機械受注
 機械受注統計      ※1 内務省HPへ
 機械受注高 (産業用ロボット) 機械受注高 (建設機械)
 製造業購買担当者指数
 製造業購買担当者景気指数(日本) 製造業購買担当者指数【PMI】(ドイツ)
 製造業購買担当者指数【PMI】(中国) 製造業購買担当者指数【PMI】(ユーロ圏)
 製造業景況指数【ISM】(アメリカ) 
 鉱工業指数
 鉱工業指数(生産)四輪自動車・自動車部品 鉱工業指数(生産)電子デバイス・電子部品
 鉱工業指数(生産)生産用機械工業 鉱工業指数(生産)電気計器・計測器
 鉱工業指数(生産)半導体・液晶製造装置・半導体部品・液晶パネル 鉱工業指数(生産)計測分析機器・精密測定機
 鉱工業指数(生産)工作機械 鉱工業指数(生産)金属製品工業
 鉱工業指数(生産)機械プレス 鉱工業指数(生産)炭素繊維
 鉱工業指数(生産)産業用ロボット 鉱工業指数(生産)水晶振動子
 鉱工業指数(生産)航空機部品 鉱工業指数(生産)段ボール箱・板
 鉱工業指数(生産)建設機械 鉱工業指数(生産)プラスチック製部品
 鉱工業指数(生産)食品・包装機械 鉱工業指数(生産)ファインセラミックス
 鉱工業指数(生産)ポンプ・圧縮機・油空圧機器等 鉱工業指数/設備稼働率(アメリカ)
 鉱工業指数(生産)普通鋼・特殊鋼等 
 生産統計
 建設機械生産統計(金額・台数)
 貿易統計
 貿易統計 商品別輸出額(全体) 貿易統計 商品別輸出額(電気機器)
 貿易統計 商品別輸出額(一般機械) 貿易統計 商品別輸出額(輸送用機器)
 特定サービス産業動態統計調査
 機械設計業エンジニアリング業
 その他
 ハイテクノロジー産業の国別付加価値額
 貿易収支
 景気動向指数