製造業経営コンサルタントの井上です。
今日は設備投資の推移と現状について、「ものづくり白書」から見ていきましょう。
設備投資額の推移
設備投資型額ですが、リーマンショック以前の水準をここ3〜4年で超えてきた状況です。ただし米中貿易戦争がはじまりが、投資の減退のスタートになっています。
製造業の設備投資額と減価償却費
製造業の設備投資額と減価償却費の推移を見ていると、ここ10年程度は減価償却費が増えてない状況で利益を出してきたという面が見えます。
今後は、設備投資をして減価償却費が積み上がりますが、生産性を向上させそれ以上の利益を出す流れができていれば良いのですが、リーマンショック以降設備投資が進んでいない現状があった
業況・設備投資 DI(製造業、全規模)
設備投資営業キャッシュフロー(CF)比率の推移
資産の収益性(ROA)と設備投資の推移
2000年以降は、設備投資額より資産の収益性があがってきている。
生産設備導入からの経過年数(2018 年調査)
生産設備導入からの経過年数の比較(2018 年、2013 年、1994 年の比較)
製造業における設備老朽化の状況
日本は昔、「ジャパンisNo.1」と言われた時代は製造業は設備効率を高め生産性が高い時期があった。しかし、設備投資が見送られる傾向が続いており、設備の老朽化に伴う更新の必要性が高まっている。
日本機械工業連合会が 2018 年 12 月に行った生産設備保有期間に関するアンケートによると、調査を行った機械機種のうち、金属工作機械、第二次金属加工機械、鋳造装置では 50 ~ 80%近くの設備が導入してから 15 年以上経過している。また、設備を導入してからの経過年数について、経済産業省による 1994 年調査、2013 年調査と比較すると、二次金属加工機械、溶接機及び溶断機、レーザー加工機、自動組立装置では、15 年以上経過している機器が2~3割程度増加している。
生産設備の多くの耐用年数は7〜10年程度。流石に15年を超えてくると故障が多くなり、生産性も最新の設備に比べると落ちる。各設備の50%以上が15年以上という現実は今後の日本の製造業は非常に厳しいと言える。
適正な設備投資を怠り、設備の経年年数の多くが15年以上と決して良くない状況に陥っている。ビジネスをする上で重要なツールとなる設備を適切に導入していないと勝てる勝負も勝てなくなる。
設備投資をせず、減価償却費が減り、見せかけの利益で凌いできたツケは必ず来る。経営資源は突き詰めると、人、モノ、金、情報である。資本を経営資源に適切に配分することの重要性を再認識していただきたい。