プロトラブズ日本撤退

製造業経営コンサルタントの井上雅史です。

やや衝撃なニュースが入ってきました。それはプロトラブズ日本法人を閉鎖というニュースです。

私も今井社長からご連絡を頂いて、何度も座間の本社兼工場へ伺わせて頂きディスカッションを行っていました。工場見学もしっかりとさせて頂き、工作機械のハースが整然と並んで加工をしている場面を思い出します。

まだ詳細な情報が入ってきていないので、なんとも言えないところがありますが、分かっているところから考察していきます。

(また情報が入り次第、記事をアップデートしてしていきます。)

プロトラブズ日本法人のこれまでの経緯

試作/小ロットのオンデマンド受託製造サービスを展開するプロトラブズは、同社Webサイトにて「日本法人の閉鎖についてのお知らせ」を掲載した。最終受注日は2022年7月15日。米国および欧州での営業は継続する。

プロトラブズ日本法人は、2009年に米Proto Labsの日本法人として事業を開始してます。約13年にわたり、オンデマンドによる試作/小ロットの受託部品加工サービスを提供してきた。日本では、神奈川県座間市の本社・工場を拠点に、射出成形と切削加工サービスを展開しております。

設備的には、射出成形機 13台(80t ~ 350t)、CNCマシニングセンター 41 台、CNC旋盤 3 台 (設備の詳細はこちら)あり、生産実績としては、射出成形:年産 1,500型以上、切削加工:年産 55,000パーツ以上あります。

また、国内ではミスミグループ本社やP板ドットコムと、ミスミのオンライン機械部品調達サービス「meviy」が提供するラピッドプロトタイピングなどサービスを行っています。

世界の拠点では、アメリカ・日本・イギリス・スウェーデン・ドイツ・フランス・イタリアが現在になります。アメリカの上場企業で約2,400名の従業員がいます。プレスリリースが出ていますので、見ていきましょう。

2021年度通期の業績ハイライト

  • 2021年の年間売上高は過去最高の4億8,810万ドル。前年度の4億3,440万ドルから12.4%増。
  • 当社サービスを利用した製品開発者の数は、55,330人。
  • 売上高総利益率は45.6%(前年度は50.1%)。
  • EBITDAマージンは16.5%(前年度は21.7%)。
  • 調整後EBITDAマージンは18.3%(前年度は24.8%)。
  • 純利益は3,340万ドル、希薄化後の1株あたり利益は1ドル21セント。
  • 非GAAPベースの純利益は4,280万ドル、希薄化後の1株あたり利益は1ドル55セント。
  • 現金および投資等の2021年度末合計残高は9,180万ドル。
   (プロトラブズ プレスリリースより)
   (米国本社発表の原文)

2022 年度第1四半期の業績ハイライト

  • 2022年度第1四半期の売上高は、前年同期の1億1,610 万ドルから6.9%増の1億 2,420万ドルとなりました。
  • 第1四半期のHubs の売上高は 1,030 万ドルで、前年同期比 78.6%増、有機的成長率は約38.2%でした。ProtolabsはHubsを2021年1月22日付で買収しました。
  • 純利益は 510万ドル、希薄化後の1株あたり利益は19セントでした。
  • 非GAAP(米一般会計原則)ベースの純利益は1,040万ドル、希薄化後の1株あたり利益は38セントでした。

   (プロトラブズ プレスリリースより)
   (米国本社発表の原文)

上記の業績に関しては、米国本社の発表となっています。日本法人は100%子会社なので、上記業績に含まれているとみます。(間違っていたら教えて下さい)

売上高を日本円(125円)で換算してみると、

2020年度 4億3,440万ドル/年間  →  543億円/年間
    2021年度 4億8,810万ドル/年間  →  610億円/年間
    2022年度 1億 2,420万ドル/四半期 → 621億円/年間(年換算した場合) 

となります。

利益に関しては、EBITDAマージン(営業利益的なもの)が高い水準ですが年々下がっているのはかなり気になるところです。

  2020年度            EBITDAマージン 21.7%
  2021年度            EBITDAマージン 16.5%
  2022年度第1四半期 EBITDAマージン 14.3%

工場敷地面積については、(全体2021年)

  日本(2020年) 約9,000平方メートル  ※日本は全体の9.68%
  全体(2021年) 1 million sq. ft. → 100万平方フィート(0.3048メートル)
                                     → 約92.905平方メートル (※合ってます? 

日本国内の生産設備が、下記のようになっています。

   射出成形機 13台(80t ~ 350t)、CNCマシニングセンター 41台、CNC旋盤 3台

全世界での従業員数が2400名で、日本が100名となります。システム等の開発メンバーはアメリカにいると聞いてます。(2021年度の世界での売上高約610億円に対して)

  (従業員比)  100名/2400名  25.4億円/年 →業務提携先があるので売上はもっと減少と予想
  (面積比)      全体の約9.68%  59億円/年 
                全体の約9.68%  29.5億/年(工場敷地使用比率 約半分と捉えると) 

上記の予想をしたのですが、TSR(東京商工リサーチ)がすぐ調べられるので調べました。

  (TSR)       2020年12月期 売上高      不明            当期利益  約6,890万
                     2019年12月期 売上高      不明            当期利益  約5,290万
                     2018年12月期 売上高     約15億6千万    当期利益    約9,700万

なぜ撤退なのか?考察

プロトラブズ日本法人の日本撤退自体を憶測で考えてもあまり意味がなく、ファクトとして何がありどう判断したかを知る必要あります。これは今後、情報がでてくるので追って見ていきたいと思います。また、プロトラブズの経営がどうのこうのというよりは、日本の部品加工業界がデジタル化という波があるなかで米国で成功し成長しているプロトラブズが日本を撤退するのかを知りたいと思ってます。

振り返って、私がプロトラブズより連絡を頂いて訪問をしたのが2020年10月頃から年末にかけて、数回訪問をしております。その中で、2020年は業績が良くないという印象でした。

色々模索をされている状況でした。

更に2017年に気になる記事がありました。

考えられることとして、EUや米国の製造業がよく行うこととして、アジアの生産拠点を日本でなく中国や韓国などに置くというケースです。アジアの製造の中心として、ボッシュや樹脂溶着装置のブランソンも中国を中心に展開をしている例も多くあります。

プロトラブズもこのような事も考えられます。

更にミスミの「Meviy」が世界展開するというニュースがありました。

憶測ですが、ミスミとプロトラブズが組んで世界展開などもあるかも。

更に私の想像ですが、日本での3DCADの浸透が遅い、デジタル化の進行を他国よりも遅く今後の成長が良くないと判断をしているのでは、と想像してしまいます。

いずれにしても、どのようなファクトあり、なぜ日本を撤退するのかは押さえていきたいと考えてます。

<追加情報>

ミスミ「メビー」のラビットプロトタイピングはプロトラブズが担ってましたが、プロトラブズのロゴマークが有りましたが、削除されてます。

その後、ミスミからのメールで、(メール引用)

ミスミ プロトラブズ

米国での製造・出荷になったという連絡が入っている。

(この記事は情報が入りしだい、アップデートしていきます。)

(追加)プロトラブズの閉鎖に関する金型の引き渡しなどについての情報

プロトラブズの閉鎖に関する金型の引き渡しなどについてのFAQが出てきました。

https://www.protolabs.co.jp/lp/FAQ_closure

NoQA
1追加成形の発注はいつまでご注文受付可能ですか?生産キャパシティを超えたため、新たなご注文受付を終了しております。​ ​ 
2なぜプロトラブズでしか成形できないのですか?
金型の独自仕様とはなんですか?
当社の金型はお客様のパーツ製造のために特別に加工した金型部分のみで、当社が保有する汎用の金型部は含みません。そのため他の成形機では使用することができません。
当社金型仕様については金型引き渡し構成図をお渡しいたします。
3

金型引取希望だが、連絡方法はどうすればいいですか?   

別途お送りしているご案内メールもしくはinfo@protolabs.co.jpに下記情報をお送りください。

◆ 引き渡しご要望 回答期限 : 2022年6月20日(月)
(返送先会社名・ご担当者名・住所・電話番号、引き渡し希望パーツ名をお知らせください)

4金型廃棄希望だが、連絡方法はどうすればいいですか?

破棄証明が必要な方は、info@protolabs.co.jpに対象パーツ名をご連絡ください。 

◆ 廃棄証明書発行依頼 回答期限 : 2022年6月20日(月)
(廃棄証明書のフォーマットは弊社フォーマットとなります。)
 ご連絡がない場合にはこちらで廃棄処分させていただきます。

5金型の2Dもしくは3DCADの提供は可能ですか?

紙面による仕様書、データなどは存在せずご提示できる書面がありません。
情報自体も弊社独自のソフトウェアにて作成されており汎用性がありません。

6他社を紹介して欲しいのですが?当社金型を転用できる成形会社様のご案内は行っておりません。
7金型の構造がわかる写真が欲しいのですが?

個別の金型写真のご提供はできません。 
ご参考までにサンプル金型の写真をご参照ください。

8成形条件を開示して欲しいのですが?

引き渡しを希望されたお客様に対しては金型引き渡し構成図・成形条件表をご提供いたします。 

9金型寸法を開示して欲しいのですが?金型引き渡し構成図に記載されている情報がすべてになります。
10使用されていた成形機スペック(t数・メーカー等)を知りたいのですが?成形条件表でご確認ください。
11支払いについての確認方法は?下記メールにてご依頼ください。
info@protolabs.co.jp
12支給材料は返却可能ですか?返却いたします。こちらからお送りするご案内に返送先情報をご返信お願いいたします。
お問い合わせは下記メールにお願いいたします。
info@protolabs.co.jp
13支給材料は廃棄可能ですか?廃棄処分も可能です。廃棄希望の方は下記メールにお願いいたします。
info@protolabs.co.jp
14金型引き渡しを希望した場合送料はかかりますか?金型引き渡しに掛かる送料は日本国内に限り当社で負担いたします。
15金型を直接引取りに行っても良いでしょうか?ご来社での金型引き取りは承っておりません。
16金型やパーツのデータは削除可能ですか?日本法人閉鎖と共に金型やパーツのデータは責任を持って処分いたします。第三者への漏洩はございません。
17金型廃棄証明書は無料ですか?発行に費用はいただいておりません。
18金型の出荷日を事前に教えて下さい。順次作業を進めておりますが、予定日のご連絡が難しい状況です。 
出荷前日までに重量や大きさを記載した金型引き渡し構成図をお送りします。
19引き渡しを希望した金型はどのように送られてきますか? 

出荷前日までにサイズ、重量を記載した金型引き渡し構成図成形条件表をお送りします。
荷姿は梱包時に決定されるため、事前にご案内することができません。【金型お引き渡し時の荷姿、お受け取りに関する注意点】を必ずご確認ください。
パレットの場合、受取人様での荷下ろしが必要です、フォークリフト等が必要になる場合があります(パレットの返却は不要です。)

20事前に荷姿、パレットの大きさ及び、パレット数を教えていただけますか? パレットは返却必要ですか?
荷姿は梱包時に決定されるため、事前にご案内することができません。【金型お引き渡し時の荷姿、お受け取りに関する注意点】をご確認ください。パレットの場合、受取人様での荷下ろしが必要です、フォークリフト等が必要になる場合があります。(パレットの返却は不要です。)
21金型の受け取りに時間指定はできますか?
送り状番号を連絡いただくことはできますか?
誠に申し訳ありませんが時間指定を承ることはできません。

パレットの場合・・・チャーター便での発送になります。お問い合わせ番号は発行されません。また、受取人様での荷下ろしが必要です、フォークリフト等が必要になる場合があります。
ダンボールの場合・・・佐川急便の普通宅配便での発送になります。出荷時お問い合わせ番号を
メールでご案内します。

なお、荷姿は梱包時に決定されるため、事前にご案内することができません。
出荷前にお送りする金型引き渡し構成図と、【金型お引き渡し時の荷姿、お受け取りに関する注意点】を必ずご確認ください。
22金型返却はいつまでに対応してもらえますか?順次ご案内致しますのでご連絡をお待ち下さい。
23金型引き渡しを判断するために重量や大きさなどの情報が
事前に欲しいです。
引き渡しご希望の部品を下記メールアドレスまでご連絡ください。
出荷前日までに金型引き渡し構成図をお渡しいたします。
こちらに記載されている情報でご判断ください。
金型のサイズおよび数量によってはパレットでの発送となります。
パレットの場合、ご自身での荷下ろしが必要です。フォークリフトが必要になる場合があります。
荷姿については【金型お引き渡し時の荷姿、お受け取りに関する注意点】を必ずご確認ください。
24金型引き渡し構成図・成形条件表を見てから引渡/廃棄を決めることは
可能でしょうか?
対象となる部品をinfo@protolabs.co.jpへお知らせください。 
金型引き渡し構成図をご案内しますので、お引渡しについてお早めに連絡ください。

25

>プロトラブズが保有する汎用の金型部は含みません。
>また、その所有権はプロトラブズに帰属します
上記の「汎用の金型部」を購入させて頂く事は可能でしょうか?
「汎用の金型部」はプロトラブズの秘密情報にあたり社外に開示することができないため、
ご提供することはできません。
26汎用金型ではないとのことですが、何が合わないのか、何が他の金型とちがうのか教えて下さいお引渡しご希望の場合、金型引き渡し構成図成形条件表をご提供します。
こちらをもとにご判断ください
27廃棄証明書に写真はつきますか?写真の掲載はございません。
28金型返却依頼済ですが、受理されていますか?お返事が遅くなり申し訳ありません。
ご連絡いただいた対象金型をお調べし、順次金型引き渡し構成図成形条件表をご案内致しますのでお待ち下さい。
29プロトラブズに調達を依頼した材料を引き続き使い続けたい対象のパーツ名・材料メーカー・材料品番を下記メールにお送りください。
info@protolabs.co.jp
弊社が購入している材料商社様をご案内します。
(お取引と諸条件については直接材料商社様とご調整ください)
30引き渡しを受けた金型の所有権、税制上の扱いはどうなるのでしょうか?金型の所有権はお客様に譲渡されます。
税制上のお取り扱いについては当社ではお答えできません。
31金型廃棄証明書はいつもらえますか?順次お手続きを行っておりますが、ご案内までお時間をいただく可能性がございますことを
ご了承ください

(更新日:2022年6月22日)       (プロトラブズHPより)

(この記事は情報が入りしだい、アップデートしていきます。)

中小の金属加工業の 今後、未来とは?
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規模別の金属部品加工業の厳しい現実・現状 と方向性 (製品出荷額等、付加価値額等)