製造業経営コンサルタントの井上です。

最近のふと思ったこととして、大卒で現在30歳の人はリーマンショックを知らないという事実。

ということは、20代は皆、リーマンショックを知らない。

そういえば自分も、オイルショックはという言葉は知っているが、社会人としての体験はしていない。

時代は流れているものだ。

前置きはそのくらいで。

今日は、5年、10年後の製造業の未来について考えてみたい。

日本の人口動態

いつも通り日本は、絶賛、減少中。

そして世界の人口は、逆に絶賛、増加中。

おさらいかここまで。

日本は人口現象、世界は人口増加。

要は、市場が大きくて成長が見込める市場は、日本から見ると「海外(日本以外)」が有望であるということは明白ですね。

今は、まだそれほど感じないかもしれませんが、もうすぐに実感できる時が来るでしょう。

日本と先進国・中国等のGDP比較

更に、GDPという誰でも知っている指標を改めてみると、アメリカと中国が突出しています。

経済大国、日本は?

もはや普通の国になっています。とは言え世界第3位。

昔の「ジャパン is No.1」ではないことは確かです。

更に名目GDPの日本の世界GDPシェアを見てみると、シェア理論上では「存在シェア」程度になります。。。

2050年には、1%になっていく予想です。。。

まだ日本が凄いと思っている人はいませんか? 市場としての魅力は減少の一途。。。仕方がない。

海外に向けて「モノ」を売るしかないですね。

日本の製造業の輸出動向

この状況の中、日本で製造して海外に輸出している製品は、競争力があるということです。

輸出の状況を見てみましょう。

ただ分野別に見てみると日本の凄いところも多くありますね。主に自動車と工業品というところでしょうか。

失われた20年を経て、未だに日本で製造している「モノ」です。

自動車強いですね。しかし、自動車は今後の製造業における「リスク」と考えます。詳しく、見ていきましょう。

日本の自動車業界の今後

当然ですが、海外生産台数が上がり、国内生産台数が加工トレンドになるでしょう。トヨタのメキシコ工場も2019年以降稼働していきます。

メーカー別で国内生産を見てみると、

やはり、トヨタがNo.1です。トヨタ自動車(ダイハツ、日野含む)2017年で、国内生産約470万台に対して、輸出は190万台、約40%。

http://www.toyota.co.jp/jpn/company/about_toyota/data/monthly_data/j006_17.html

先日、次のような記事もでていました。

トヨタが国内生産「50万台減」を見据え動き出した!

「石にかじりついてでも日本のモノづくりの競争力を守る」。トヨタ自動車の豊田章男社長がこう宣言したのは、製造業が円高や東日本大震災など“6重苦”にさらされた2011年夏。モノづくりへの危機感が強まる中でトヨタは、生産子会社を再編しつつ国内生産300万台の維持を宣言した。雇用への責任感から、当時は「理屈上は成り立たない」(豊田社長)異例の措置に踏み切った。(ニュースイッチより)

実際は、もっと減っていくでしょう。

耐久消費財である自動車は、市場規模も大きく国内調達比率など制約も多く、地産地消型にならざる負えないということです。

日本の製造業の産業機械・機器の動向

日本が今後も牽引していく製品は、やはり産業機械系の刷り合わせ技術が必要な製品になっていきます。

製造業の未来 半導体製造装置
半導体およびFPD製造装置 日本製装置販売高予測(出典:日本半導体製造装置協会)

その他に、産業財として、キーエンスやファナックを代表する産業用ロボットなどもあります。

現状でも輸出する製品(競争力がある製品)は、今後も世界に通用する製品であり続ける可能性があります。

中国でも半導体製造装置は難しいとしても、工作機械や産業用ロボットなどを中国国内で製造していく流れは今までもあったと思います。

実際に製造しているメーカーもあります。

それでも日本製が売れるということは、製品力があるということに他なりません。

日本の製造業の自動化の状況

日本は更に、人口減少が叫ばれる中、自動化の機運が高まり、ロボットシステムを構築するSIer(ロボットシステムインテグレータ)が足りないと昨今言われ出しています。

ロボ導入に慎重な企業姿勢−SIの育成に真剣に取り組むべき

関心の高さと相反して、多くの製造現場では今なお、ロボットやIoT(モノのインターネット)の導入に慎重な姿勢の企業も少なくない。システム構築を支援するシステムインテグレーター(SI)不足が背景にある。SIの育成に真剣に取り組みたい。世界トップレベルの技術力を持つ一方、日本のモノづくりの生産性は決して高くない。幅広い産業分野、特に中堅・中小企業にロボット、IoT導入が広がれば、モノづくりの生産性向上に大きく寄与するとの期待が大きい。SIはモノづくりの競争力向上の担い手としての存在感が高まっている。(日刊工業新聞より)

SIer問題も解決してより自動化が進めば、日本の生産性向上に確実に繋がります。

日本と世界の賃金水準比較

次に、賃金水準について、考察をします。

深センを基準に「1.0」とした時の2007年と2016年の日本(横浜)の一般工員の月給水準が

          深セン       日本(横浜)
  2006年     1.0         16.7
  2017年     1.0          6.6

要は、アジアの中で日本は、相対的に賃金水準が下がっているということ。裏を返せが、コスト競争力が増しているといえます。

まとめ

  • 日本の製造業で、輸出に関連している製造業(下請け含む)は、日本の人口減少の影響を受けにくい。
  • 輸出関連の産業や製品は、輸送用機器、一般機械、電気機器、化学製品等工業用の製品が多い。
  • ただし、輸送用機器は自動車も含まれるので、近い将来国内生産から海外生産へ移行する余地がある。
  • 日本の技術が生かされる製造装置関連や機器、産業用ロボットなど、今後も競争力が強い製品も多くある。
  • 経済産業省を中心に、現在、自動化を推進する機運が高まり、IoT、自動化が進み生産性向上が見込まれす。
  • アジアの中で、賃金水準が日本は伸びておらず、また他の国の人件費が急速に増えている中、日本はコスト競争力が増す傾向にある。

従って、日本の製造業で輸出関連、また製品は機械関連、半導体関連は、今後、より一層仕事が増え収益も向上していくと考えられます。

ただ、リスクとしては、忙しいけど人が採用できず増産に対応できないという状況が生まれてしまう可能性があります。

2017年度の製造業の決算が良くなることは見えているので、新卒や中途採用も製造業人気に今年はなるのではと、密かに予想しております。

【コラム】デジタル化時代の人材育成・教育シリーズ

         < 目 次 >

      第1回目:デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは?
      第2回目:今後の中小製造業の仕事は誰がやるのか?
       ◆「機械・ロボット」にさせる仕事
       ◆「システム・AI」にさせる仕事
       ◆「人間」がするべき仕事 
                 ・誰でも出来る化
                 ・高度な専門職(職人)
                 ・管理職
      第3回目:中小製造業の人材育成・教育の実態
       ◆大手に比べて人材の質も比較すると低く、教育の仕組み化も弱くのに教育していない現実
       ◆OJTという名の丸投げ無責任体質で「教育品質」のバラツキが大きい
       ◆ISOでの形だけの教育計画
      第4回目:「御社の社員の一人前基準・目安」は何ですか?
       ◆何が求められるスキルなのかを明確にする➜目次化
       ◆職種別の一人前基準を明確にする
       ◆「一人前基準」は自発的に伸びる社員の道標になる
       ◆部品加工業におけるスキルマップの事例
      第5回目:人材育成・教育は、コンテンツ化が重要コンテンツ化して「資産化」しろ!
       ◆「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ
       ◆デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」
       ◆「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用
       ◆「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する
       ◆コンテンツのアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要
   第6回目:難易度の高い業務ほど人任せでなく教育方法を「研究」する
       ◆ただ教育する事が良い事であると勘違いしている
       ◆習得に時間がかかる(難易度の高い)業務ほど、ノウハウの現場の職人依存の現状
   第7回目:教育することも工数がかかる。教育工数を削減も
       ◆「コンテンツ化」すれば、教育する工数を減らせる(人が教えなくて良い状態」を作る)
             ◆教育の「コンテンツ化」=「教育する工数削減」=「技術伝承がしやすい環境」
      第8回目:製造業の評価制度はスキルが明確でなくければ上辺だけに評価制度になる。(人材育成と評価制度の関連性)

<参考>見とくと良い経済指標

最新の経済指標をグラフ化して見ることによって、経済トレンドを把握することが重要。工作機械受注高、鉱工業生産指数、製造業国賠担当者指数(中国)(EU)、設備稼働率(米国)等を押さえておきましょう。

経済指標名
  産業機械 受注統計
 工作機械受注高 鍛圧機械受注
 機械受注統計      ※1 内務省HPへ
 機械受注高 (産業用ロボット) 機械受注高 (建設機械)
 製造業購買担当者指数
 製造業購買担当者景気指数(日本) 製造業購買担当者指数【PMI】(ドイツ)
 製造業購買担当者指数【PMI】(中国) 製造業購買担当者指数【PMI】(ユーロ圏)
 製造業景況指数【ISM】(アメリカ) 
 鉱工業指数
 鉱工業指数(生産)四輪自動車・自動車部品 鉱工業指数(生産)電子デバイス・電子部品
 鉱工業指数(生産)生産用機械工業 鉱工業指数(生産)電気計器・計測器
 鉱工業指数(生産)半導体・液晶製造装置・半導体部品・液晶パネル 鉱工業指数(生産)計測分析機器・精密測定機
 鉱工業指数(生産)工作機械 鉱工業指数(生産)金属製品工業
 鉱工業指数(生産)機械プレス 鉱工業指数(生産)炭素繊維
 鉱工業指数(生産)産業用ロボット 鉱工業指数(生産)水晶振動子
 鉱工業指数(生産)航空機部品 鉱工業指数(生産)段ボール箱・板
 鉱工業指数(生産)建設機械 鉱工業指数(生産)プラスチック製部品
 鉱工業指数(生産)食品・包装機械 鉱工業指数(生産)ファインセラミックス
 鉱工業指数(生産)ポンプ・圧縮機・油空圧機器等 鉱工業指数/設備稼働率(アメリカ)
 鉱工業指数(生産)普通鋼・特殊鋼等 
 生産統計
 建設機械生産統計(金額・台数)
 貿易統計
 貿易統計 商品別輸出額(全体) 貿易統計 商品別輸出額(電気機器)
 貿易統計 商品別輸出額(一般機械) 貿易統計 商品別輸出額(輸送用機器)
 特定サービス産業動態統計調査
 機械設計業エンジニアリング業
 その他
 ハイテクノロジー産業の国別付加価値額
 貿易収支
 景気動向指数