製造業経営コンサルタントの井上です。
私のクライアントは中小中堅の受託製造・加工業が多く、主の大手メーカーの下請の企業が多くを占めています。中小中継の製造業のコンサルティングにおいて、クライアントの顧客の状況やその業界動向や技術動向を知らなくてはいけません。当然ですが、顧客が上場企業なら有価証券報告書に目を通してある程度把握しておく必要があります。
四半期ごとに発表されてますが、事業環境などが更新された都度、変化点や質疑応答に含まれる事業環境や動向、気になる点をまとめていきます。
特に、
- 事業環境及び環境の変化
- 事業戦略の方向性
- 製造拠点の動向(日本での今後の生産をどう考えているのか?)
この3点について見ていきます。
今回は、ロールtoロールの塗工機・化工機メーカー(株)ヒラノテクシードになります。
市況データ
まずはロールtoロール装置(塗工装置等)の工業データがなく、もともと製紙機械や繊維機械から参入していることを鑑みると「繊維機械」が現在のロールtoロール装置を表していると思われる。また、フィルム成形機に関しては、押出成形機の統計に入っているようです。
2022年の3月の鉱工業生産指数の繊維機械の指数は大幅に上がっているが、上がり過ぎではないのか?と疑問もあり来月(4月)の状態を見て確認していきたい。
業績推移
まずは業績推移ですが、第4四半期を終えて昨年対比で売上高が146.7%となり大幅に伸長しております。過去最高の売上高になっております。更に来期の通気予想が420億円とこれも過去最高の業績が予想されています。
売上高の推移(累計期間)
受注高・受注残高の推移(四半期会計期間別)
受注高・受注残高に関しては、ここに来て大幅に増えてます。過去最高の受注高28,589百万円で受注残も過去最高で68,835百万円となっています。塗工機と化工機(フィルム成形機)にわかれますが、塗工機の受注が大きく伸び過去最高の受注高と受注残を叩き出しています。この背景は、リチウムイオン電池の電極塗工の受注が大幅に入ったという状況です。電池関連で手一杯で下請け企業にも他の分野生産を技術者を派遣してまで応援をしてもらっている状況と聞いてます。リチウムイオン電池関連ということは、今後もまだまだ設備が足りず旺盛な設備投資が期待できます。
<参考資料>
2022年3月の新車販売に締める
<全世界> 電動化率(BEV+PHEV) 15% (BEVのみ) 11%
<中 国> 電動化率(BEV+PHEV) 26% (BEVのみ) 21%
部門別 : 塗工機関連機器
部門別 : 化工機関連機器
まとめ
(株)ヒラノテクシードのIRから様々な情報が最低限しか把握することができないので【参考レベルC】となります。今回は最終四半期発表の資料のみを見ています。6月中に株主総会を見て再度更新をしていきます。いずれにしても電池関連の設備投資状況を見ていく上では、ヒラノテクシードの受注状況を見ていくと状況がわかりますので、今後も定期的に見ていきましょう。
IRから漏れ伝わるシリーズ
※なお、本ブログは、本ブログ作成者が細心の注意を払い判断した出所からの情報に基づき作成されています。ただし、本ブログの記載内容が真実かつ正確であり、重要な事項の記載が欠けていないことを保証するものではありません。
注目企業の事業分析 | ||||||
業界 | 企業名 | 事業内容 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 期末 |
半導体製造装置 | レーザーテック(株) | 半導体マスク欠陥検査装置等製造 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 |
ローツェ(株) | ウエハ搬送システム、FPD製造装置等 | 5月 | 8月 | 11月 | 2月 | |
工作機械・産業用ロボット | ファナック(株) | CNC装置、工作機械、産業用ロボット製造 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 |