円高によって海外の安い労働力を求めて、家電など海外進出してきた。この流れは変わらないでしょう。今年は、大幅に円安になり、海外調達の流れは止まりつつあるが、一旦海外生産で国外に出てしまった企業が国内に戻ってくることはなかなか難しい。

このような流れの中、医療機器は国内生産、開発を強化する企業が多く出てきている。

【オリンパス】マザー工場化、海外と住み分け
2015年、世界シェア7割を握る消化器内視鏡システムを国内で増産する。青森工場(青森県黒石市)、会津工場(福島県会津若松市)、白河工場(同西郷村)の主要3拠点にそれぞれ新工場棟を建設。
国内で全量生産するオリンパスの消化器内視鏡システム

【シード】内製化でコスト減
シードもコンタクトレンズを生産する鴻巣研究所(埼玉県鴻巣市)に新棟(2号棟)を建設し、4月から1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーピュアシリーズ」などを増産する。
【テルモ】主力製品のマザー工場が国内で本格稼働する
テルモは今春、世界的に需要が高まるカテーテルの増産に対応するため山口県に新工場を開設する。グローバル戦略として海外生産を拡大させる一方、高度な生産技術が必要な高機能のカテーテルなどは国内生産にこだわる。

【日本光電】開発スピード化
日本光電は群馬県富岡市に医療機器生産の国内マザー工場を新設。

【東芝】分散開発拠点を集約
東芝は14年末にヘルスケア分野の研究開発拠点「ヘルスケア開発センター」(川崎市幸区)を開設した。同センターで磁気共鳴断層撮影装置(MRI)や超音波画像診断装置、ウエアラブルセンシング技術、ビッグデータ解析技術など次世代製品・技術を開発する。これまで国内に分散していた研究開発人員約120人を同センターに結集させた。

【東芝メディカルシステムズ】CT再生工場(新興国を深耕)
東芝メディカルシステムズは国内外で生産体制を強化している。国内の医療機関が使用していたCTを再生し、新興国に投入するCTリサイクル事業といった新しい取り組みも始めている。

これから医療機器は医療業界全体の改革の中で、産業として大きく伸びていくことが予測されています。医療機器に限らず、付加価値が高いものは開発や生産において高度なスキルや技術が必要とされます。結局、誰にも(他国)に出来ないことをすることによって、まだまだ日本の製造業の役割は大いにあります。

 

医療機器メーカー各社、国内生産体制を拡充
医療機器メーカーが国内で研究開発・生産体制を相次ぎ強化している。高い品質が求められる医療機器はコストだけを追求して安易に海外生産にシフトすることができず、他業界に比べて国内生産比率が高い。とはいえ事業を拡大させるには急成長する新興国を中心に海外の需要を取り込まなければならない。各社とも国内では研究開発とモノづくりの現場を連携させ生産拠点をマザー工場化し、海外では新興国向けの量産工場を設けるなど機能分化を進めていく。(日刊工業新聞 電子版より)