ものづくり企業コンサルタントの井上です。

昨年から人材難でどの業種も採用に力を入れています。

完全失業率と有効求人倍率を見てみると、以下のとおりで、平成26年あたりを境に有効求人倍率がかなり高い水準を維持し、更に高くなってきている状況です。

http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1data/03_02_grf.htm

そのような状況の中、採用に目が行きがちですが人材マネジメントとして、トータルで考えて見ることにします。

トータルな人材マネジメントとして捉えると「3つの力」として、捉えることができます。

  1つ目の力 : 人材採用力
  2つ目の力 : 人財生産力(人材育成力でなく)
  3つ目の力 : 人財定着力(社員を抱える力)

人材マネジメント 1つ目の力 : 人材採用力

人材マネジメントの1つ目の力としての「人材採用力」です。

これは最近、コンサルティング会社がこぞってセミナーなど開催して展開していることですね。

いわゆる「ダイレクト・リクルーティング」のindeedでの集客の手法です。

当然、その後の面談やその他の会社説明会、面接のやり方などのレベルを上げることも重要な要素になります。

人材マネジメント 2つ目の力 : 人財生産力(人材育成ではなくて)

次に人材マネジメントの2つ目の力である「人材生産力」についてです。

採用した人材を、「人財」へ育成していくことです。従来は「人材育成」と言っていましたが、最近は「人財生産力」といっています。

詳しくは、過去の記事の『「人材育成力」から「人財生産力」へ』をご覧ください。

間単に言えば、現状、100名以下の製造業で、人材育成が大切だといっておきながら日々実践している会社がものすごく少ないです。

これが現実です。理由は、忙しいから。 ただ時間があるときに人材育成をやっているかというと、やっていない製造業が多い。

人材育成は、忙しくて忙しくなくても、実践する大切な業務であるという認識が薄すぎます。

大人ぶった”綺麗ごとお化け”が会社をだめにしてます。 ”綺麗ごとお化け”は、「バカにしたがる男たち」(河合薫著)で言われている”「組織がわかってない」を切り札にする人々”に通じるものがあります。

もっともらいしいことを言いうのですが、大切なことを実践しない。

一人前になるのに2~3年以上かかる職種は、しっかりとしたスキル分析と教育計画、更に会社として常に教育方法の研究をすることが重要な時代になってきます。これを総称して「人財生産力」と呼んでいます。

人材マネジメント 3つ目の力 : 人財定着力

最後にの「人財定着力」は、「人財生産力」を上げる為の仕組みを通じて、社員に目標を明確に持たせることで確実に定着率はあがります。しかしそれだけでは、当然、片手落ちです。

「人財定着力」を上げるポイントは、

ポイント1:会社(社長)の考えていることが「見える化」でき、伝わっていること
ポイント2:会社(社長)が「伝えている」ことが本当であること(言っていることと、実践していることが違わない)
ポイント3:社員との接触頻度
ポイント4:社員の話を聞く仕組みがあること
ポイント5:社内に信頼の文化が構築できていること

5つのポイントが構築、醸成されていることが求められます。

関連記事:デジタル時代の中小製造業(ものづくり企業)の人材育成

         < 目 次 >

      第1回目:デジタル化時代の「ものづくりは人づくり」とは?
      第2回目:今後の中小製造業の仕事は誰がやるのか?
       ◆「機械・ロボット」にさせる仕事
       ◆「システム・AI」にさせる仕事
       ◆「人間」がするべき仕事 
                 ・誰でも出来る化
                 ・高度な専門職(職人)
                 ・管理職
      第3回目:中小製造業の人材育成・教育の実態
       ◆大手に比べて人材の質も比較すると低く、教育の仕組み化も弱くのに教育していない現実
       ◆OJTという名の丸投げ無責任体質で「教育品質」のバラツキが大きい
       ◆ISOでの形だけの教育計画
      第4回目:「御社の社員の一人前基準・目安」は何ですか?
       ◆何が求められるスキルなのかを明確にする➜目次化
       ◆職種別の一人前基準を明確にする
       ◆「一人前基準」は自発的に伸びる社員の道標になる
       ◆部品加工業におけるスキルマップの事例
      第5回目:人材育成・教育は、コンテンツ化が重要コンテンツ化して「資産化」しろ!
       ◆「目次」が出来たら、項目ごとに「コンテンツ化」しろ
       ◆デジタル化した「教育のコンテンツ化」はアップデート可能な「資産」
       ◆「コンテンツ化」の手段としての「動画」活用
       ◆「教育コンテンツ」+「教え方」もZoomのレコーディングを活用してデジタル化する
       ◆コンテンツのアップデートも考慮した「教育体系」がデジタル化時代には必要
   第6回目:難易度の高い業務ほどOJTという名の人任せでなく教育方法を「研究」する
       ◆教育する事が良い事であると勘違いしている
       ◆難易度が低い業務ほどマニュアル化(明確化)されているが、なぜか難しい業務ほど人任せの現実
       ◆習得に時間がかかる(難易度の高い)業務ほど、ノウハウの現場の職人依存の現状
   第7回目:教育することも工数がかかる。教育工数を削減も
       ◆「コンテンツ化」すれば、教育する工数を減らせる(人が教えなくて良い状態」を作る)
             ◆教育の「コンテンツ化」=「教育する工数削減」=「技術伝承がしやすい環境」
      第8回目:製造業の評価制度はスキルが明確でなくければ上辺だけに評価制度になる。(人材育成と評価制度の関連性)