製造業コンサルタントの井上です。

厚生労働省が提示している「モデル就業規則」の最新バージョン(平成28年3月30日)では、「第3章 服務規律」の「(遵守事項)第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない」に、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と記載されています。

しかし2016年12月26日に、政府によってこの副業規定を廃止し、副業を「原則容認」すると発表されました。
現実的に直ぐに兼業・副業を許可する会社はまだ少ないと思います。

現状どの程度、兼業・副業に対して容認等しているか、見てみると、

(出典:兼業・副業に対する企業の意識調査 – リクルートキャリアより)

なんと「22.9%」が容認・推奨している企業があるという結果でした。

対象の業種と規模で見てみると

(出展:兼業・副業に対する企業の意識調査 – リクルートキャリアより)

製造業も適正な割合であり、企業規模も意外と中小企業も返答している中での結果です。

この段階では、まだ多くの企業が容認しているわけではないですが、容認されたあと考えるべきことが2点あります。

  1. 製造業以外が、兼業・副業容認が進んだ場合
  2. 製造業でも、兼業・副業容認が進んだ場合

まず「1.製造業以外が、兼業・副業容認が進んだ場合」ですが、副業する理由が現段階では、多くは収入増を目指すことが目的だと思われます。また企業も人件費を上げたくないという理由と本当の意味での自由の働き方革命という側面もあります。

本当に収入が上がれば、兼業・副業を目指す人も出るでしょうか、優秀な人はまだ兼業・副業しないで仕事をした方がメリットが大きい状態のはずです。先程のアンケートで、兼業・副業が容認企業が50%以上を超えるようになると、優秀な社員が自分の力を試す為に兼業・副業を試す動きがでるはずです。起業はまだ怖いけど、まずは兼業・副業で自分の力を試したいという欲求がでてきます。

次に「2.製造業でも、兼業・副業容認が進んだ場合」ですが、この状態になるには他業種でかなり容認する企業の割合が高い状態にならないと製造業が兼業・副業を容認する動きにならないでしょう。

また製造業の場合は、顧客との守秘義務契約を結んで仕事をしているケースも多いです。この様な業務についている社員はどうするのか?という議論になるはずです。そもそも守秘義務契約を結んでいるので、それを破るころは前提としてないのであれば、問題はないはずですが人情的に兼業・副業が厳しいかもしれません。当面は。

製造業の場合は、技能職が多く製造業の中でもある程度の技能がある人は、他の企業でも働きやすいという特徴があります。

技能を得るのに数年かかるケースが多いので、その育成期間を経なくて社員を必要な時間分獲得できる点はかなりメリットである。派遣では出来ないことです。

問題は、今までの技能を活かせる他社への兼業・副業は、地域内での競合になる場合も、現実的にはいろいろ課題はありそうです。

今後の流れとして、兼業・副業への対応など、想定は必要です。会社にとってメリット、デメリットを見極めて考えておくこと、想定しておくことが必要な時期に来てます。