製造業コンサルタントの井上です。

もう読まれていると思いますが、発売3日で2万5000部のベストセラーになった、『新・所得倍増論』(デービッド・アトキンソン著)を読んで感じたことは、日本人の特性を客観的にとらえているということ。一人当たりにGDPが低いこと、生産性が低いことは事実を知り、なぜ、そのような状態になったのか?原因はなぜかを考え、今後どう行動すべきかが求められます。

東洋経済オンラインに記事ができてましたので、こちらをご覧ください。

日本を「1人あたり」で最低にした犯人は誰か 「世界最高の労働者」を活かせないという罪

デービッド・アトキンソン :小西美術工藝社社長

前々回(「1人あたり」は最低な日本経済の悲しい現実)と前回(日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる)の記事で、日本の生産性が他国と比べて相対的に低下している現実を指摘し、生産性向上の必要性を訴えてきました。このような主張をしていると、必ず「生産性向上など必要ない」という意見をもらいます。しかし「GDP=人口×生産性」です。人口が増えない中で、生産性を向上させないなら、これから確実に増える社会保障費をどうやってまかなうのか。先進国の中で貧困率がトップクラス、まさに「ワーキングプア大国」という現実をどう解決するのか。「生産性向上など必要ない」と主張する方にはぜひとも教えていただきたいのですが、納得のいく意見を聞いたことがありません。妙案がある方がいらっしゃいましたら、ご連絡をお待ちいたします。(東洋経済オンラインより  http://toyokeizai.net/articles/-/150913?display=b  )

書籍に関しては、ぜひ読まれた方が良いです。

私は大学では経営工学を学んでいましたが、その傍ら日本的経営に非常に興味があり、自分で研究をしていました。
中根千枝氏の『適応の条件:日本的連続の思考』(講談社現代新書、1972年)など、日本的経営についてや日本人の特性に関する書籍を読み漁っていました。当時は、漠然と日本人は理屈でないことで物事を進めていることに違和感を持っていました。
社会人になり、それは現実のものとなり、ある意味”適応”していかざるを得ない状況も経験してきました。
今から考えると高度成長を経て、ジャパン・イズ・ナンバーワンの意識変革が出来ずに、それぞれの立場で現状維持に重きをおいた社会が出来上がりつつあった時代でした。

失われた20年が、私の社会人生活のすべてになります。その中で理屈で動きつつ、うまくいく会社や、いろいろ抵抗にあってダメになっていく会社を見てきました。ライブドアなどが代表格になると思います。”理屈”だけでなく、”日本的に適応”できた会社が急成長してきた時代でした。
それが徐々に”理屈”に合って、”スピード”が早い会社が成長する時代になってきたました。
今までの”スピード”の会社が成長できない、生き残れない時代になりつつあります。
”スピード”が遅い会社は、デービッド・アトキンソン氏が言われている生産性の低い会社ということになります。日本的な仕事の進め方をしているので、無駄が多く、スピードが遅くなります。

この失われた20年は事実です。この事実を教訓に、生産性を上げるべく会社が、個人が、取り組まないと日本という国が、現在の生活を守ることが出来なくなってきます。

大きな変革は時間がかかりますが、具体的に明日から、日々の仕事のやり方を変えていくことはできます。

まずは『新・所得倍増論』(デービッド・アトキンソン著)を読まれ、具体的に生産性を向上させる為にどう行動すべきか考えるキッカケにして頂きたい。