製造業経営コンサルタントンの井上です。

先日、残業時間80時間超で企業名公表と以前の基準より厳しくなるというニュースが駆け巡った。

中小製造業をメインのクライアントにもつコンサルタントとしては、「80時間」は確かにと思う部分もありながら、現実的には設計部門や組立部門など人工仕事(労働集約)の場合超えてしまう場合もある現実を考えてしまった。

従業員70~80名くらいのまでの製造業は、長時間労働しないような工夫をしているのかというと、その場のやり過ごす為の必至であるという状況が散見される。中小製造業も、
●作業の標準化

●作業の自動化

●従業員のスキルアップの為の教育

など、自ら努力をして生産性を上げて行く努力は必要である。

ここでは、なぜ残業80時間超での企業名公表や、電通の取り締まりなど、労務関連の話題がここにきて多いか考えてみたい。

先日のブログも合わせて読むとわかりますので、ぜひお読みください

「日本の今後の人口減少の現実に、衝撃です。」

要するに、日本の人口が減っていきます。また一人当たりGOPは決して高い方ではない世界では、2015年の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキングで26位です。

国はGDPを挙げていきたいと考えています。ちなみに企業にとっては、GDPは関係ありません。企業は企業自身の利益が重要になります。

アメリカなど欧米は、ROEが求められます。

国は、企業の協力が無けれGDPが上げられません。

これはあくまでの個人的な見解ですが、

●GOPを上げる為に、単純化すると①人口を増やす、②生産性を上げる、かの選択になります。

●①人口を増やすことは短期的に難しいので、ここは省きます。短期的には、労働人口で就業率の低い女性に働いて貰いたい。

●また、③女性の賃金が先進国と比べて低いことを是正していきたい。

●女性が働きやすい環境作り、①待機児童問題の解消、②家事子育てを女性だけでなく、男性にも参加してもらう。

●だから、労働時間に関するさまざまな課題を解決する為に国が動いている。(先程の残業時間80時間の件や電通の問題など)

●③の問題は「同一労働、同一賃金」と政府(厚生労働省)が検討会などを開いて検討しています。

非常に単純化しましたが、国がGDPを増やしたい理由は、国民生活が豊かになることや、そもそも今までの仕組み(社会保障制度や年金など)を維持していく為に必要であるということが考えられます。その為に、国がさまざまな対策を講じてきており、企業にもしっかりと同調してほしいというメッセージが読み取れます。

非常にびっくりしたのが、日本電産の取り組みです。

残業ゼロへ500億円投資 「ハードワーク」の日本電産

西村宏治、伊沢友之  2016年12月20日05時05分

モーター大手の日本電産の永守重信会長兼社長は19日、グループの働き方を改め、生産性を高めるために今後4年間で500億円規模を投じる考えを明らかにした。「2020年までに社員の残業ゼロ」との目標の達成のためで、来年1月には改革を担う専門組織を社内に設け、効率的な働き方を実行に移すという。

(朝日新聞デジタルより  http://www.asahi.com/articles/ASJDM5HCDJDMPLFA009.html )

製造業に関わっている方なら、お分かりの方も多いと思いますが、日本電産はハードワークで有名な会社です。その会社が、お金かけてまで残業を減らす対策をするとは驚きです。

国は「働き方革命」を推進して、短期的に女性の活躍の場を広げてGDPを押し上げたいと考えていますが、中長期的には「生産性向上」により取り組んでほしいと思っています。IoTしかり、ロボットでの自動化など、またホワイトカラーの生産性向上も急務です。

かなり乱暴に考察してみましたが、大きな流れ上記の通りだと思います。

また、企業経営においても、「生産性向上」を企業の目的である利益獲得にも貢献するので、前例主義や常識を疑って「生産性向上」に取り組んで頂きたい。